なぜ届かぬ被爆地の悲しみ

'98/5/15

 ▽抗議行動5・14ドキュメント  国際世論の激しい非難を浴びながら、立て続けに地下核実験を強 行したインド。被爆者らの間には、核軍拡競争の再燃を懸念する声 が強く、一夜明けた十四日も中国地方の各地で抗議行動が相次い だ。被爆者や市民の一日を追った。

 6・00 被爆した姉を数年前に亡くした被爆者の女性(75)=広島 市中区=が、中区の原爆慰霊碑に手を合わせる。「インドの言い分 は信用できない」

 7・40 日本に出張中の米国のエンジニア、ジェフ・ヒンツさん (35)ら二人が原爆ドームを訪問。「国際的地位向上を狙ったインド の選択は、裏目に出る可能性が高い。制裁措置を打ち出した米国も 偽善に満ちている」

 10・30 原爆慰霊碑前で開かれた「ヒロシマ・平和のリボンの 会」の集会に、フランスからの観光客ピエール・トロイユさん(46) が「フランスの核実験も含め、すべての核兵器保有の動きに反対」 と飛び入り参加

 11・15 広島市中区のホテルで開かれた広島平和文化センター評 議員会に出席した広島県被爆二世団体連絡協議会の西本守事務局長 (50)が「インド国民の支持の高さは、政府が長年にわたって隣国の 脅威をあおってきた結果」と批判  正午 原爆ドーム前で「ピースリンク広島・呉・岩国」の十人が 座り込み

 12・10 原爆資料館で被爆証言を聞いた修学旅行生、小学六年中 村亜由美さん(11)=米子市=が「もしも核戦争が起きたら、こんな に恐ろしいことが繰り返されるのかと思うと、すごく怖い」と涙声 で感想

 12・15 岡山市平和町の平和像前で、岡山市議ら十八人が抗議の 座り込み。岡山県平和センターの向征人事務局長(51)が「大きな反 核の波をつくらねば」

 12・20 広島県芦品郡新市町役場前で、町職労などの二十三人が 座り込み

 12・30 広島県双三郡三良坂町の平和公園で九十人規模の抗議集 会。町原爆被害者の会の佐々木幹男会長(67)が、ガンジーやネール 時代を思い起こし「指導者によって国民の考え方がこうも変わるの か」

 12・35 福山市職労が市役所前などで座り込み

 12・45 原爆慰霊碑前の広島県被団協(金子一士理事長)などの 座り込みに参加した広島市職員金子秀典さん(43)=同市中区江波西 一丁目=が「力の論理に力で対抗したら、破滅を招く」とつぶやく

 13・45 平和学習で広島を訪れた中学二年池田倫子さん(13)=岡 山県浅口郡=らが、原爆ドーム前で「核兵器の恐怖を壁新聞にまと める」と話す

 14・00 国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)のパネル討論会に 出席した被爆者の松原美代子さん(65)が帰国。広島市南区の自宅で 「講演先のドイツで核実験を知った。現地の高校生は国際的に反核 の声を上げるべきだと言っていた」と手ごたえを語る

 15・00 島根県原爆被爆者協議会の竹谷博会長(70)が、バジパイ 首相あての抗議文を郵送

 17・30 山口市中央二丁目の市民会館前で、山口県被団協などが 座り込み。広島市で被爆した中谷亘会長(74)=宇部市則貞=が「被 爆者の心の叫びである核兵器廃絶への活動が踏みにじられた」

 18・00 原爆慰霊碑前で広島県被団協(伊藤サカエ理事長)など が座り込み。団体職員林裕子さん(22)=広島県安芸郡熊野町=は 「若者が中心になって被爆地の訴えを強める責任がある」

 18・00 岡山県浅口郡鴨方町の遥照山保養センターで開かれた被 爆者の研修会で同県原爆被爆者会の桑田義彦副会長(72)が「みんな が核兵器について、真しに考えるべき時だ」と呼び掛け

 19・00 広島市中区の平和会館で「原水禁学校」。昨年、インド を訪れた広島県原水禁の宮崎安男代表委員らが論議


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