平岡市長・藤田知事らインドへ抗議文
'98/5/15
平岡敬広島市長、藤田雄山広島県知事や世界百カ国・地域の四百 五十六都市で構成する世界平和連帯都市市長会議(会長・平岡市 長)は十四日、再び核実験を強行したインドのバジパイ首相とシン 駐日インド大使あてに抗議文を送った。
平岡市長は「国際社会の核軍縮努力に逆行する暴挙で、強い憤り を覚える」と厳重抗議。「パキスタンなどをいたずらに刺激して核 拡散の危険性を高め、国際社会におけるインドの名誉を失墜させ る。国際社会の声を真しに受け止め、広島市民とともに核兵器廃絶 に取り組むよう求める」としている。
藤田知事は檜山俊宏県議会議長との連名で「広島県民や国際社会 の思いを踏みにじる行為で、許すことは出来ない。あらためて強く 抗議する」とし、核実験の即時中止と核兵器廃絶への努力を求め た。
世界平和連帯都市市長会議は「国際世論への挑戦。核兵器で自国 の安全を保障する考え方では世界の平和は達成できない」と訴えて いる。
▽2度の核実験に広島県内で抗議行動
ヒロシマは粘り強く核兵器廃絶を訴える―。三日間に二度にわた って強行されたインドの地下核実験に対し、県内の被爆者団体や平 和グループは十四日、広島市中区の原爆慰霊碑や原爆ドーム前を中 心に抗議行動を繰り広げた。核軍縮の流れが後退しかねない危機感 を背景に、参加者は被爆地の役割がさらに重要になってきたとの思 いを強めた。
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県被団協(伊藤サカエ理事長)や県原水禁、連合広島など十三団 体約百人は、午後六時から三十分間、原爆慰霊碑前に座り込んだ。 昨年十一月、パキスタンを訪れた被爆者の佐々木愛子さん(63)=中 区大手町四丁目=も参加。「核保有で安全保障が維持できるなどと いうのは、とんでもない話。パキスタンも対抗して核実験に踏み切 るのではないか」と心配していた。
もうひとつの県被団協(金子一士理事長)や県原水協など八団体 約八十人も正午過ぎ、原爆慰霊碑前で抗議の座り込みをした。アピ ールに立った団体代表らは「核拡散防止条約(NPT)の欠陥が、 最も危険な形で露呈した。ヒロシマが中心になり、核兵器廃絶の国 際条約を締結させていこう」と決意を込めた。
ヒロシマの願いを二度にわたって踏みにじったインドに、広島市 以外の平和団体も怒りを募らせた。双三郡三良坂町平和公園では、 町平和を願う会(会長・湯免龍夫町長)が抗議集会を開催。昼休み に参加した中学生二人が「平和学習を通じ、今後もヒロシマの心を 世界に伝えていきます」との声明を読み上げた。
ピースリンク広島・呉・岩国(三木のりこ世話人)は正午から一 時間、原爆ドーム前に座り込み、「世界で最初に原爆被害を受けた ヒロシマは、核開発路線の放棄を求める」とのビラを市民に配布。 市民団体「ヒロシマ・平和のリボンの会」(渡辺美代子代表)も原 爆慰霊碑前で午前十時半から、リボン約三十枚を連ねてインドを非 難した。福山市など県東部でも抗議行動があった。
【写真説明】双三郡三良坂町平和公園で、中学生も加わり核実験抗議の座り込みをする参加者たち(14日午後零時半)