海外の反核団体がIネットで抗議
'98/5/14
インドが十一日に実施した核実験に対し、海外の反核団体が相次 いで抗議声明を発表し、インターネットを通じて世界にアピールし ている。
▽環境保護団体グリーンピース・インタナショナル(本部アムス テルダム)
インド政府が核実験に対する国内の支持を重視し、地域の安全保 障体制を不安定にするならば、その代償は高くつく。核拡散防止条 約(NPT)は不平等だと主張してきたインドの立場も弱くなる。 一方、核保有国は、核軍拡を進めてきた責任を忘れて、インドを非 難するだけではいけない。
▽核戦争防止国際医師会議(IPPNW、同米ケンブリッジ)
インドの核実験は、冷戦後も核戦争の危機が遠のいていないこと を思い起こさせた。核保有国も、核軍縮のリーダーシップを取れな かった事態を直視すべきだ。自分たちだけに核兵器を保有する特権 があると考えている限り、核不拡散の努力は失敗する。
▽核管理研究所(同ワシントン)
インドの核実験は、クリントン政権の核不拡散政策の失敗を意味 している。中国の支援と米国の黙認により、パキスタンが最近、プ ルトニウムを生産する原子炉を初めて稼働させたことがインドを刺 激した。米政府は経済制裁を加えないと、さらに核実験が実施され るだろう。
▽ピース・アクション(同ワシントン)
インドはアジア地域で、危険な核軍拡競争を加速させている。米 ロの軍拡競争は環境面でも、経済面でも破たんした。インドは同じ 過ちを繰り返してはならない。
▽欧州安全保障・軍縮センター(同ブリュッセル)
核保有国が核拡散防止条約に調印しながら、臨界前核実験によっ て新型核兵器を開発する能力を保持しているのは事実だとしても、 六番目の核保有国の誕生は、世界を危うくするだけだ。世界の指導 者が軍縮会議を開き、憂慮を表明する必要がある。
▽被団協がインド大使館前で抗議行動
インドの地下核実験強行に対し、日本被団協は十三日、東京都千 代田区のインド大使館前で抗議行動をした。
東京、千葉、埼玉の三都県に住む被爆者約三十人が、核実験に抗 議する横断幕や被爆死した少年の写真などを持って参加。藤平典事 務局長が、正門越しにバジパイ首相あての抗議文を職員に手渡し、 「生き残った私たちが核兵器の恐ろしさを伝え続けなければいけな い」と訴えた。
この日、被団協は大使館幹部に面会を求めたが、拒否された。藤 平事務局長は「被爆の実態を知ってもらうため、今後も面会を求め 続ける」と話していた。