インド、再び地下核実験を強行

'98/5/13

 【ニューデリー13日共同=木庭慎吾】インド政府は十三日、西部 ラジャスタン州のポカラン砂漠の核実験場で同日午後零時二十一分 (日本時間同日午後三時五十一分)、新たに二回の地下核実験を実 施したと発表した。今回の実験により、計画していた一連の核実験 をすべて終了することを明らかにした。

 十一日の核実験に対する国際的な批判がまき起こる中での再実験 強行で、インドへの非難はさらに高まるのは必至だ。

 この日の実験は、十一日に同じ場所で実施した三種類の地下核実 験に続くもので、前回得られた関連技術をさらに確実にするととも に、核保有国としての「決意」をあらためて内外に明確に示す狙い があるとみられる。

 ドイツ訪問中のクリントン米大統領は、これに対し十三日、イン ドに対する経済制裁を科すための文書に署名。隣国パキスタンも 「インドは暴走しているようだ」(カーン外相)などと反発してい る。

 インドのカント副大統領は訪問先のカイロで十三日、米国などに よる制裁発動に対し「わが国は自らが署名したいかなる国際条約や 協定にも違反しておらず、制裁に耐える準備ができている」などと 語り、対抗姿勢を鮮明にした。

 ロイター通信によると、実験の目的は、コンピューターシミュレ ーションのためのデータ収集に加え、臨界前実験の実施に必要なデ ータを集めるためという。

 インドは十一日、今回の実験と同じ実験場で、原爆と同様の「核 分裂装置」、それより出力の低い「低出力爆発装置」、水爆と同様 の「熱核反応装置」の三種類の地下核実験を実施。一九七四年五月 以来、二十四年ぶりの核実験として、国際的な反響を呼んでいた。

 平岡敬広島市長の話

 国内外から激しい非難を受けながら再度、 実験を強行したことは国際社会の核軍縮努力に逆行する暴挙。強い 憤りを覚え、厳重に抗議する。パキスタンなどを刺激して核拡散の 危険性を高めるとともに、国際社会における孤立化を招く。核兵器 は国家の安全を保障しないことを理解し、核兵器廃絶に向けて取り 組むべきだ。


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