パキスタンが再び核実験 国際非難の中あえて強行 |
'98/5/31 |
【イスラマバード30日共同=長谷川健司】パキスタン政府は三十 日、同国が同日午後一時十分(日本時間同五時十分)ごろ、西部バ ルチスタン州チャガイの核実験場で二度目の地下核実験を実施した ことを発表した。
インドに対抗して二十八日実施した初の核実験に続くもので、包 括的核実験禁止条約(CTBT)への早期署名を求める国際的な圧 力が強まる中、核技術で優位に立つインドとの格差を縮めるための 「駆け込み実験」とみられる。
パキスタン政府筋によると、短距離地対地ミサイル搭載用の二つ
の核弾頭の爆発実験が行われ、出力はそれぞれ広島に落とされた原
爆の約二倍に当たる十五キロトンという。
実験中止を求める国連安全保障理事会の議長声明など国際世論を 無視しての、再度の核実験強行に、既に制裁を発表している米国や 日本が態度を硬化させるのは必至。
また、今月中旬に二度の核実験を行った後「一方的停止」を発表 したインドを刺激することも予想され、インド、パキスタン間で核 搭載ミサイルの開発、配備など軍拡競争の過熱が懸念される。
パキスタンの核開発の責任者カーン博士は英字紙ニューズに、二 十八日の実験が核分裂装置(原爆)の爆発だったことを明らかに し、政府の指示があれば熱核反応装置(水爆)実験も「他人が考え るよりはるかに早く」実施することが可能だと述べている。
地元紙によると、パキスタンは二十八日に行った最初の核実験 で、インドの大半を射程に収める中距離弾道ミサイル「ガウリ」に 搭載する核弾頭の衝撃、振動実験を実施したという。
国連安全保障理事会は二十九日、強い遺憾の意を表明し、実験中 止とCTBT調印を求める議長声明を採択した。
【写真説明】パキスタンの核実験計画に関与してきたイスラマバードの核科学・技術研究所=撮影日時不明(AP=共同)