パキスタン核実験で一斉に抗議行動広がる

'98/5/29

 インドに追随してパキスタンが強行した核実験から一夜明けた二 十九日朝、被爆者団体や平和団体は広島市や長崎市、東京のパキス タン大使館前などで、一斉に抗議行動を繰り広げた。

 広島市中区の平和記念公園では、市民グループ「ヒロシマ・平和 のリボンの会」(渡辺美代子代表)が午前十時半から原爆慰霊碑前 に集合。「核実験ノー」と書いたリボン約三十枚を掲げて国際世論 を無視したパキスタン政府を非難した。

 広島県被団協(金子一士理事長)や広島県原水協など八団体は正 午過ぎから、「パキスタンの核実験に断固反対」と書いた横断幕を 手に、原爆慰霊碑前に座り込んだ。米国をはじめとする核大国の責 任も厳しく指摘し、包括的核実験禁止条約(CTBT)に代わる、 あらたな国際条約の緊急性をアピールした。ピースリンク広島・呉 ・岩国(三木のりこ世話人)も、正午から原爆ドーム前で座り込ん だ。

 長崎市松山町の平和公園でも、反核団体が署名活動をした。平和 祈念像の前では修学旅行で訪れた大阪府河内長野市立南花台中学校 の三年生二百人が集会を開き、パキスタンへの抗議を盛り込んだ平 和宣言文を読みあげた。

 東京都港区の在日パキスタン大使館前では、昨晩から「核はいら ない」などと書いた横断幕を手に、会社員ら数人が座り込みを続け た。午前八時半ごろから大使館職員が出勤してきたが、大勢の報道 陣を前に無言のまま建物の中へ入った。

 ▽ヒロシマ怒りの声

 新たな核軍拡競争を何とか食い止めなければ―。パキスタンが強 行した地下核実験に対し二十九日、ヒロシマは懸命に怒りの声を振 り絞った。「なぜ被爆者の苦しみが分からないんだ」。被爆者団 体、平和団体、広島市中区の平和記念公園を訪れた修学旅行生たち …。原点から、抗議の輪が一気に広がった。

 被爆者の魂が宿る原爆慰霊碑前。市民グループ「ヒロシマ・平和 のリボンの会」(渡辺美代子代表)のメンバーと一緒に、修学旅行 中の愛知県立鳴海高校の生徒も平和のリボンを掲げた。二年の森美 知子さん(16)は「少しでもヒロシマの声を伝えたい」。渡辺代表は 「地道に積み上げてきた核軍縮の流れが一気に止まる。被爆者の声 を受け止め、核兵器廃絶に真剣に取り組んでほしい」と訴えた。

 平和記念公園内の原爆資料館。修学旅行で島根県隠岐郡海土町か ら来た福井小六年吉元優香さん(11)は「被爆した人が泣いている」 と記帳。井上由貴君(12)は「平和な社会を築こうと勉強しているの に残念」と肩を落とした。原爆の子の像の前では、この朝も、奈良 県吉野郡の阿知賀小児童が被爆者の証言に聞き入った。

 正午すぎから慰霊碑前に座り込んだ広島県被団協(金子一士理事 長)や広島県原水協などのメンバーは「国際政治が核抑止論に頼っ ている限り、核兵器廃絶はあり得ない」と口々に指摘。金子理事長 は「恐れていた事態が現実となった。いかなる理由があれ、決して 許されない」と声を震わせた。

 新たな核軍拡競争を何とか食い止めなければ―。パキスタンが強 行した地下核実験に対し二十九日、ヒロシマは懸命に怒りの声を振 り絞った。「なぜ被爆者の苦しみが分からないんだ」。被爆者団 体、平和団体、広島市中区の平和記念公園を訪れた修学旅行生たち …。原点から、抗議の輪が一気に広がった。

 被爆者の魂が宿る原爆慰霊碑前。市民グループ「ヒロシマ・平和 のリボンの会」(渡辺美代子代表)のメンバーと一緒に、修学旅行 中の愛知県立鳴海高校の生徒も平和のリボンを掲げた。二年の森美 知子さん(16)は「少しでもヒロシマの声を伝えたい」。渡辺代表は 「地道に積み上げてきた核軍縮の流れが一気に止まる。被爆者の声 を受け止め、核兵器廃絶に真剣に取り組んでほしい」と訴えた。

 平和記念公園内の原爆資料館。修学旅行で島根県隠岐郡海土町か ら来た福井小六年吉元優香さん(11)は「被爆した人が泣いている」 と記帳。井上由貴君(12)は「平和な社会を築こうと勉強しているの に残念」と肩を落とした。原爆の子の像の前では、この朝も、奈良 県吉野郡の阿知賀小児童が被爆者の証言に聞き入った。

 正午すぎから慰霊碑前に座り込んだ広島県被団協(金子一士理事 長)や広島県原水協などのメンバーは「国際政治が核抑止論に頼っ ている限り、核兵器廃絶はあり得ない」と口々に指摘。金子理事長 は「恐れていた事態が現実となった。いかなる理由があれ、決して 許されない」と声を震わせた。

【写真説明】パキスタンの核実験強行に抗議し、原爆慰霊碑の前でリボンを掲げる「ヒロシマ・平和のリボンの会」メンバーと愛知県立鳴海高校の生徒たち パキスタンの核実験に、被爆地の怒りが渦巻く中、被爆者の証言に聞き入る修学旅行の小学生(いずれも広島市の平和記念公園内)


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