核軍縮へ行動会議発足へ/外相が表明

'98/6/4

 小渕恵三外相は四日午前、都内のホテルで講演し、インド、パキスタンの相次ぐ地下核実験を受けて、世界の官民の有識者十人程度で構成する「核軍縮・不拡散に関する緊急行動会議」を早期に発足させる考えを正式に表明した。

 小渕外相は「核軍縮・不拡散の問題は政府間の議論にとどまらず、あらゆる英知を結集して対処すべきだ」と強調した。

 さらに(1)十二日の主要国(G8)外相会議で、インド、パキスタン対立の背景にあるカシミール問題をめぐる両国対話の促進を問題提起する(2)今年十一月に長崎で開催される国連軍縮会議で、両国の核実験を踏まえて議論されることを期待する―と述べた。

 外相によると、緊急行動会議は発足後、三回程度の会合を日本で開催し、一年以内に核軍縮の促進と不拡散体制の堅持、強化に向けた提言をまとめる。日本国際問題研究所や広島平和研究所など国内のシンクタンクが作業に協力する。

 政府は核保有国でもある米国、ロシア、中国など国連安保理常任理事国のほか、インド、パキスタン両国からの参加も呼び掛ける方針。初会合は広島が有力視されている。

 行動会議は、橋本竜太郎首相が三日提唱した核不拡散・軍縮に関する国際フォーラム構想を具体化した。南アジアの地域安全保障の観点から検討している「カシミール問題東京国際会議」構想と並ぶ日本の具体的提案となる。



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