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国の在外被爆者支援事業 1カ月遅れスタート 広島・長崎
'02/7/02

  広島、長崎両県市は一日、六月から開始予定だった国の在外被爆 者支援事業を一カ月遅れでスタートさせた。被爆者健康手帳取得の 渡航費補助など「渡日」を前提とした事業が中心で、四県市が実施 主体となる。しかし北米、南米の被爆者団体は「高齢で渡日は困 難」と見直しを求めており、事業が広がるかどうかは未知数のま ま。広島市は「利用者が増えるよう、団体、国の双方と協議を続け る」としている。

 事業は、(1)手帳取得の来日、滞在費助成(2)現地での健康 診断(3)渡日治療の渡航費補助や医療機関のあっせん(4)医 療、福祉関係者の研修受け入れ(5)渡日できない被爆者に被爆確 認証を発行する職員の派遣―の五本柱。事業費は総額五億千七百万 円で、本年度の手帳交付者は七百四十七人(向こう三年間で計二千 八百人)を見込む。

 しかし、在ブラジル原爆被爆者協会、米国原爆被爆者協会は、現 地で手当を給付するための基金創設を要望。被爆者が最も多い韓国 原爆被害者協会も支援事業への賛否を留保しており、多くの国で広 報や申請受付の窓口がない中での事業開始となる。

 広島市によると、これまでに現地の被爆者団体を経由せず、韓国 の二十三人と米国の七人が、広島、長崎両市に手帳交付を仮申請し ている。  広島市の守田貞夫社会局長は、各団体からの事業見直し要請につ いて「(決定権を持つ)国との協議も続ける」と述べた。


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