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2002/08/14
―米国の被爆者を取材し「生き残った人びと」を出版されたのが一九八九年でした。 被爆して外国に住んでいる人たちは、米国に限らず、平穏で幸せな青春時代ではなかったはず。特に米国の場合、戦前に移民し、母国の教育を受けさせるため子どもを日本に帰して親子離れ離れで戦時中を過ごした家族も多い。人生そのものが苦労している。 それから半世紀以上がたち、被爆者も高齢になった。きちんと補償すべきと思う。被爆者数がこれから減ることを考えれば、国の予算枠を変えなくても海外の被爆者支援はできる。 しかし、来日が困難な被爆者もいる。米国内で対処する方法を考えなければならない。もともとサンフランシスコ講和条約(五一年締結)で日本政府が被爆者の面倒を見ることになったが、原爆を投下した米国に「少しぐらい手伝え」と言ってもいいのでは。日本は普段から米国に協力しているんだから、ここで外交力を発揮すればいい。 ▼現地で「手帳」交付 ―米国内でできるのはどんなことですか。 日本からの医師団が健診で北米も南米も巡回している。被爆者の状況は把握できているのだから、被爆者健康手帳は現地でも発行できるはず。手帳の再交付も郵便などで対応できる。どこにいても手帳を取れるようにするのは最低限の要求と思う。住んでいる所で治療を受けるのも当然のこと。米国が人道支援の形で、その資金を出してはどうか。 ―米国政府の理解が得られるでしょうか。 被爆から時間がたち、薄れていく問題だからこそ、みんなが納得する「旗」が必要になってくる。米国だけでなく、広く国際社会の問題と考えなければならない。被爆者の保護、支援を核兵器削減とともに、世界に訴えては。この地球上に落とされた原爆でいまだに苦しんでいる人がいると訴え、カンパやボランティアを募るといった活動も、被爆体験の風化を防ぐことにつながる。 「国境のない被爆者対策団」のような組織をつくるのもいいのではないか。国際社会へのアピールという点では草の根レベルでいいけれど、ことを起こすには、各国が代表を送り込んだりするなど政府レベルで設立してみては。 ▼ヒロシマの主導で ―最近の国際情勢を見ると核兵器廃絶の機運は遠ざかっています。 「被爆の問題は日本だけでは背負いきれない」と国際社会にはっきり言えばいい。米国(の核政策)がどっちに傾こうが、日本の政治力でこっちに向けさせなくてはいけない。被爆者が暮らす南米諸国や韓国とともに訴えていけばいい。 そのリーダーシップはヒロシマが取るべきだ。世界初の被爆地と叫ぶだけでは何も生まれない。被爆者がいなくなる前にきちんと、内外の分け隔てがないよう対処しなければならない。今が最後のチャンスと思う。
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