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「テロ・報復戦争とヒロシマの役割」座談会 2002/01/01
NY9月11日 その衝撃と背景 ― 米国・中枢部への同時多発テロが発生したとき、皆さんはど う感じましたか。 井上 すごくショックだった。ブッシュ大統領はテロではなく戦 争だ、と発言したので報復攻撃を始めるだろうと思った。私には十 月八日に報復攻撃が起きたときの衝撃の方がすごかった。本当に武 力行使が仕方ない状況だったのか納得がいかない。 中村 ディスクジョッキーという仕事をしているので表現にとて も気を使った。テロ後は、明るい音楽は一切流せない雰囲気だっ た。戦争という言葉も使わないようにした。直接自分の仕事に降り かかってくる問題だった。 菱木 私はテロ前に偶然、サイバーテロの本を読んでいた。国防 総省のコンピューターを破壊したり、情報を取っていったりするテ ロの動きが今後強まり、なぜそれが起きるのかを書いた本だ。世界 貿易センタービルへ飛行機が突入したのをテレビで見たとき、いま までのテロと違う、これからのテロの一つの兆候だとサイバーテロ の本と重ね合わせて感じた。 森滝 ビルが倒れるというすごさに衝撃を受けた。同時に、民間 機で突っ込んで自爆した人たちに哀れさを感じた。彼らの行動は、 これ以上ない絶望の表現だと感じた。 福井 最初はスピルバーグ監督の映画をPRしているのかと思 い、信じられなかった。次には、米国は報復攻撃に出るだろうと思 った。 ― テロの背景に何があるのでしょう。 福井 サウジアラビアの米軍駐留やパレスチナ問題、グローバリ ズムへの抗議などいろんな説がある。だが、十数人もの若者が自分 を犠牲にし命をなげうってまでしてなぜテロに走ったのか、いまだ に明らかになっていない。 森滝 経済、軍事面など米国の一国主義的な、ごう慢な振る舞い の結果が招いたと思わざるを得ない。 菱木 二十世紀の文明的問題が根源にある。非戦闘員を含んだ無 差別せん滅の思想を非常に強く感じる。それは、原爆投下に通じる 問題だ。日本に上陸すれば百万人が死ぬから原爆で二十万人死んだ ほうがいい、という短絡的な思想がまかり通った。米国が大量殺り く兵器で反対する者を抑え、他人が持てばやられるから抑える、と いう思想がまん延した。高度に発達した大量殺りく兵器にだれも抗 せなくなり、その結果、せん滅の思想の写し絵として国際テロが起 きた。 |
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