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追悼平和祈念館オープン '02/8/1

 ■遺影と対面続々 在りし日悼む

 広島市中区の平和記念公園内に国が建設した国立広島原爆死没者 追悼平和祈念館が、一日開館した。肉親の遺影を見ながら在りし日 をしのぶ遺族、犠牲者に思いをはせる市民らの悼みが、館内に広が った。

 午前八時半の開館を、約七十人が入り口付近で待ち構えた。廃虚 と化した被爆後の広島の街並みが、壁面にパノラマで広がる追悼空 間。一九四五年末までの推定死亡者数とされる約十四万枚のタイル で表された惨状を、静かに見て回る入館者の列が続いた。

 遺影コーナーでは、登録された自分の肉親や知人の遺影を探す人 たちで六台の検索装置が埋まった。

 父親と二人の兄の遺影を提供し た南区本浦町、無職吉田雅彦さん(70)は「これで三人の写真が永久 に残り、供養できたと思う。感無量です」と話していた。

 地下一階の研修室と情報展示コーナーでは、開館記念の企画展 「しまってはいけない記憶―被爆体験記にみる動員学徒」も始まっ た。学徒動員の時代背景や被害状況を説明するパネルや学徒の体験 記、遺族の手記などを紹介している。

 追悼祈念館は、国が被爆者援護法に基づいて建設した。原爆犠牲 者の遺影や被爆者の体験記の収集、公開を通じ、死没者の追悼と原 爆の悲惨さを後世に伝える役割を担う。六日午前、市の平和記念式 典に参列する小泉純一郎首相らがテープカットする。

【写真説明】追悼祈念館のオープンと同時に入場する市民たち



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