人間国宝の島原さん指揮 平和祈り尺八響く
人間国宝で、広島市名誉市民の尺八奏者島原帆山さん(99)=東区
=と門下生七十人が、夕暮れの原爆慰霊碑前で、島原さんが平和へ
の祈りを込めて作曲した「平和の山河」を初めてささげた。
一分間の黙とうの後、島原さんが前を見据え、力強く指揮棒を振
り始めると、尺八の幻想的な音色が鳴り響いた。若者やお年寄り、
外国人観光客などが次々に足を止めて、演奏に耳を傾けた。
西区の無職稲葉律子さん(62)は「心に染み渡る演奏で、原爆で亡
くなった祖母の供養になりました」と最前列で聞き入った。島原さ
んは「平和でなけりゃいけん、そう思いながら指揮をした。新世紀
の原爆の日に、長年の思いを達成でき、大満足」と感慨深そうだっ
た。
【写真説明】原爆慰霊碑前で、平和への祈りを込めて演奏する島原さん(手前)と門下生たち
秋吉敏子さん「ヒロシマ」に希望の調べ
米国で活躍するジャズピアニストで作曲家の秋吉敏子が六日夜、
広島市中区の広島厚生年金会館で、新曲「ヒロシマ―そして終焉
(しゅうえん)から」を初めて演奏した。核兵器のない二十一世紀
を願う希望の調べに、約千二百人が酔いしれた。
自らのジャズオーケストラを率いての演奏。不安をかきたてるよ
うなリズムの「無益な悲劇」と題した第一楽章で幕開け。客演のジ
ョージ川口が、荒れ狂うようなドラムで被爆の瞬間を力強く描写し
た。
高校生による被爆者の手記の朗読も交えて曲はクライマックス
へ。最終章「希望」は、サックス中心の緩やかな旋律が廃虚の中か
ら再び歩み始める人類を表現した。
演奏を終えた秋吉は「8・6の日に記念碑的な作品を発表でき、
感無量」と話した。
【写真説明】ヒロシマにささげる新曲を披露した秋吉敏子のコンサート
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