秋葉広島市長が平和宣言の骨子を発表
'00/8/2
広島市の秋葉忠利市長は二日、六日の原爆死没者慰霊式・平和祈 念式で読み上げる「平和宣言」の骨子を発表した。二十世紀最後の 宣言となるのを意識して、被爆者を中心とした広島の半世紀余の取 り組みを振り返り、新世紀に向けて広島が、戦争の歴史にピリオド を打つための「和解」を創出する役割を果たすべきだ、との決意を 世界に表明する。
秋葉市長は「和解」の対象として、まず「核兵器や地球環境の破 壊をもたらし、人間の存在を危機に陥れた科学技術と人類」と規 定。そのうえで、広島の役割について「科学技術を人間的目的に活 用するモデル都市として、新たな出発をしたい」と決意を述べる。 また、「国際的な場面で調停役として役割が果たせる都市」とも位 置づける。
宣言では冒頭、二十世紀を総括する。広島の被爆者の取り組みの 成果として、平和記念都市建設法や被爆者援護法の制定、国際司法 裁判所による核兵器使用の違法性判断などを挙げ、広島、長崎に続 いて核兵器が使用されなかったことは全人類的成果だと高く評価す る。
核兵器全廃に向けた二十一世紀への課題としては(1)被爆体験 の意味を整理し直し、人類全体の遺産として継承する(2)核兵器 は違法、という成果を核兵器廃絶につなげるため、世界平和連帯都 市市長会議の力を結集する(3)人類が自らの戦争責任を問い、憎 しみや暴力の連鎖を断つ―を挙げる。
日本政府に対しては、核兵器廃絶の強い意思を持ち、広島ととも に世界に「和解」を広めることを要請する。宣言は昨年に続き「で すます調」で読み上げる。
【写真説明】6日に読み上げる「平和宣言」の骨子を発表する秋葉広島市長(2日午前11時5分、広島市役所)