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世界の中のヒロシマ

(21)メッセージ集め「平和の輪」 加藤邦彦・温子

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加藤夫妻

私たちが24年来、住んでいるドイツ・バイエルン州のフュルト市は、平和市長会議に加盟した1985年以降、毎年8月6日に平和式典を開いています。昨年は小雨でしたが毎回、1945年8月6日の空のようだといわれるほどに太陽が輝いています。そして今年はフュルトが古文書に由来が記されて1000年になるのを記念し、それにちなんだ式典となりました。

私たちがこの式典にかかわるようになったのは86年、フュルト市平和委員会から邦彦に広島平和祈念碑制作の相談があったのがきっかけでした。世界から核兵器を廃絶し、平和を祈念する象徴として、ドイツ産の御影石で地球と5大陸を抽象し平和の折り鶴を頂上にブロンズで組み合わせた碑をドイツでは初めてつくったのです。

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世界各国から寄せられた平和メッセージを取り付ける人たち(8月6日)

かとう・くにひこ

愛知県小牧市出身。彫刻家。

かとう・あつこ

愛知県豊明市出身。画家。

2人は76年に結婚しドイツに留学。83年からフュルト市で活動を続けている。

ドイツには第二次大戦で投下された原爆が本来は、ナチス・ヒトラーに向けられたものであったと解釈する人々が多くいます。式典には広島・長崎の目を覆うような惨状に、このような大量破壊兵器を世界からなくしたいと、戦争体験者や教師をはじめ、多くの市民が参加します。チェルノブイリ原発事故以降は、核に反対する母親たちなどもいます。

私たちは世界各国の芸術家の協力を基に、共に平和の芸術の企画も入れて続けています。平和式典をできるだけ多くのいろいろな世代の人々と行っていくため、毎年新たな企画を提案・実行しています。式典参加者も年々増加しています。

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今年は「1000年祭フュルトヘの1000通の平和メッセージ」と銘打ち、世界中から1000通のメッセージを募集しました。千羽鶴のいわれにちなみ、多くの人が平和を大切にする意識を高められるようにという願いを込めました。

式典までに25カ国から1522通のメッセージが集まりました。それらをラミネート加工し8月6日、フュルト市公園の広島祈念碑前で、届いた順に直径8メートルの大きな輪に飾り付けしました。左回りで平和メッセージを結び、核の時計の時間を戻す願いも懸けました。

8月9日までこの平和メッセージの展示を続け、式典に参加できなかった人々や、ゆっくりと一つ一つに目を通したい人たちに見てもらえるようにしました。

また今後もすべての平和メッセージを資料館で閲覧できるよう市に贈呈したのです。