夏休みが1カ月ほどでやって来ます。ジュニアライターは、この機会に多くの人に広島を訪れてほしいという願いを込めて、オリジナルの「平和マップ」を作りました。 同世代の子どもたちにも親しみやすい、原爆をテーマにした5冊の絵本に注目。作品に出てくる場所を実際に訪ね、作者にもインタビューしました。皆さんも同じ場所に立ち、平和について考えてみてください。 また、国際平和文化都市としての広島を見つめ直そうと、欧米、中国、韓国の人を案内しているガイドさんたちに、広島の歴史や今を感じられるお薦めの場所をそれぞれ聞きました。 最近は原爆資料館(広島市中区)を訪れる外国人が減っています。東日本大震災や福島第1原発事故の影響とみられます。今こそ広島を訪ねてもらい、核の恐ろしさを知ってほしいです。 |
イラストは高2・畦池沙也加が担当しました。 |
基町小の被爆エノキ : ひろしまのエノキ(広島市中区基町)
2世3世…命つなぐ 基町小の西にある本川の土手にあった被爆エノキ。絵本には原爆を生き延びたエノキを世話する児童が描かれています。残念ながら、エノキは1989年に枯れてしまいました。幹は、今も校舎の2階に展示されています。 学校では今、被爆エノキの2世、3世を育てるとともに、エノキを題材にした劇にも取り組んでいます。二宮孝司教頭(48)は「命をつなぐ大切さを感じてほしい」と願います。見学には連絡が必要です。(高2・植木史織) |
イチョウ : 雲のむこうに(広島市中区大手町の平和大通り)
祖国夢見た少年描く 主人公は、いじめられていた在日韓国・朝鮮人の少年と、その少年を助けた日本人の少女です。2人がギンナンを植えている時、原爆がさく裂。少年はイチョウのてっぺんから祖国を見ることを夢見ながら亡くなりました。 実話ではありませんが2本のイチョウは平和大通りの東詰めにあります。作者の毛利まさみちさん(64)=広島市中区=は「戦争がいけないということを、イチョウや絵本を見て追体験してほしい」と話していました。(中2・井口雄司、写真も) |
竹やぶ : ピカドンたけやぶ(広島市東区牛田旭)
被爆者に母の優しさ 原爆投下後、傷ついた人たちが竹やぶに逃げ込みました。絵本に出てくる少年もその一人。全身やけどを負いながら助かりました。「竹やぶは母のように被爆者を抱きしめ、救ってくれた」と、作者はらみちをさん(83)は強調します。 40年ほど前に、竹やぶのそばに引っ越して来たはらさん。近所の人から聞いた実話を基に、絵本にしました。「原爆を乗り越え、生きようとする竹やぶと人。命のたくましさを感じてほしい」と訴えます。(中3・木村友美) |
教順寺の滝 : ヒロシマのいのちの水(広島市西区己斐上)
「尊き水」くみ続ける 主人公の宇根利枝さん(92)=広島市南区=は、広島市内外の原爆死没者の慰霊碑に献水を続けています。あの日、水を求める被爆者に飲ませられなかった宇根さん。「生き残った者としておわびがしたかった」と動機を語ります。 絵本には教順寺の滝で水をくむ宇根さんが登場します。1955年、登山の途中に見つけ、「水しぶきがダイヤのよう。このきれいな水をあげたい」と感じたそうです。 宇根さんは「水の尊さ、命の尊さを感じてもらいたい」と力を込めます。(中3・寺西紗綾) |
幟町中の折り鶴の碑 : おりづるの旅(広島市中区上幟町)
禎子さんを思い集会 絵本に出てくる佐々木禎子さんは、2歳で被爆し、10年後に白血病で亡くなりました。闘病中に折り鶴を折ったことは世界で知られています。鶴は平和のシンボルとなり、広島には世界中から千羽鶴が寄せられます。 折り鶴に込められた平和への思いを受け止めようと、幟町中は2000年、校庭に折り鶴の碑を建てました。外からも見られます。毎年、禎子さんが亡くなった10月に、和紙で作った折り鶴を碑の上に置き、生徒が平和集会を開いています。(中3・石井大智、写真も) |
外国人向け お薦めスポット |
日本語版 PDF245k |
「平和マップ」をそれぞれの言語で作りました。PDFファイルです。プリントアウトして持ち歩いてください。 |