国際平和都市・広島では、世界中の国や地域から若者が集まり議論する国際会議がこれまで何度も開かれてきました。
今回の「ひろしま国」は、会議で広島を訪れる同世代の子どもたちに、核兵器廃絶を目指すヒロシマの思いをどのように伝えていくかを話し合いました。
提言を考えるにあたっては、実際に国際会議を運営したり、原爆資料館や平和記念公園の案内をしたりした人たちの経験を参考にしました。
知識として理解するだけでなく、原爆の威力を映像で再現したり、被爆者の話をより深く聴くための工夫などのアイデアが挙がりました。言葉、歴史認識の違いなど、理解し合う上で乗り越えなくてはならない課題は多いです。これらの提言が今後の国際会議の参考になれば、と思います。
マンツーマンで案内 |
平和記念公園や原爆資料館の見学は、マンツーマンで案内することを提案します。事前に参加者と案内人が連絡を取り合い、参加者の興味や関心に応じてその人のためのコースを決めます。 どんなテーマであれ、興味や関心には、当然、個人差があります。大人数で行動すると、ガイドの説明がよく聞ける場合と、そうでない場合も生まれます。質問したいのに、なかなかチャンスがない、というケースもあるでしょう。 案内役を受け持つ人は、会議参加者が広島を訪れる前に、原爆資料館や平和記念公園に関するホームページを紹介します。参加者はそれを見たうえで、関心事や興味がある場所、見学したいコースを具体的に案内人に伝えます。 この方法だと時間が少ない場合でも効率的に見学ができ、参加者に有意義な時間を過ごしてもらうことができます。(高2・楠生紫織) |
教科書比べ 違い理解 |
参加者に学校で使っている歴史教科書を持ち寄ってもらい、原爆投下がどう書いてあるか、授業ではどう学んだか、紹介してもらいます。 教科書の記述は写真の有無を含め、具体的に紹介し合います。原爆の被害や廃虚からの復興、または日本の加害についてどういった視点で書かれているかも出し合い、それぞれの国や地域の歴史認識の違いも学びます。その上で原爆資料館や平和記念公園にある慰霊碑などを見学し、あらためて感想を話し合います。 毎日手にする教科書を通して、それぞれの考え方の違いを認識し合います。広島であったことを感情だけで受けとめるのでなく、理性的に判断してもらいます。その方が、核兵器廃絶への思いを、立場を超えて共有できるのではないでしょうか。(中1・来山祥子) |
被爆の瞬間 CG再現 |
コンピューターグラフィックス(CG)を使い、1945年8月6日に起きたことを映像化し、疑似体験してもらいます。 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では、被爆した地点ごとに被爆体験を読むことができます。それをCG化し、「ピカッ」という光や「ドン」という爆風、燃え広がる炎など、被爆者の人が見たままを再現します。また、逃げる時に水を求めて川に集まり息絶える人の姿なども描きます。 3次元立体(3D)映像で爆風や炎を、よりリアルに感じるようにします。やけどを負った人など、ショックを受けるようなシーンも盛り込みます。これは、できるだけあの日に広島で起きたことを知ってもらい、核兵器は人類と共存できないことを強く感じてもらうためです。(中3・今野麗花) |
アート合作 心一つに |
見るだけでなく、体を動かしたりして感じ取ってもらったらどうでしょう。方法として、踊ったり手形を使って絵を描いたりすることを考えました。 踊りは楽しみながらできます。言葉が通じなくても体でコミュニケーションが取れます。少人数のグループで「原爆が落ちた」「平和になった」などのテーマで表現の仕方を自分で考えながら踊ります。合間にはそれぞれの国や地域の伝統芸能などを披露してもらいのもいいかもしれません。 大きな紙に、それぞれ手形を押して地球を描きます。自分の国や海をみんなで一緒に塗っていきます。ひとつの作品を一緒に作ることで他の国の人と話も弾み、地球をみんなで大切にしようという意識が芽生えます。筆で塗るのとは違い、自分たちの手で作っているのだという意識が強くなるはずです。(中2・坂田弥優) |
宿泊で「あの日」実感 |
広島を訪れた人に、原爆被害をより身近に感じてもらうホテルがあればいいと思います。 ホテルには戦前の家を再現し、当時の生活や雰囲気を味わう事ができます。ロビーにはソファや机を置きます。冬にはこたつもあり、リラックスできるようにします。宿泊客はロビーに行けばいつでも被爆者と話すことができます。被爆者は自由にホテルに出入りできます。そこでは、一方的に体験を聞くだけでなく、家族や友達、生活などについて質問し、会話します。そうすれば、戦争によって失われたものの大きさに気づくのではないでしょうか。 私は小学校低学年の時に家で祖母の被爆体験を聞きました。そのときはとてもよく分かり、身近に感じました。講演だと一方的に話が進むため、被爆者との距離を感じます。少人数で時間を気にせずゆっくりと話を聞けば、被爆者の思いがよりしっかりと伝わります。(高1・岩田皆子) |
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