平和を願い、作られたたくさんの歌があります。命の尊さを訴え、争いのない世界を呼び掛けるメッセージに、多くの人が共感しています。ヒロシマの声を届ける歌は、若い世代も発信しています。
今回、広島市長や被爆者、スポーツ選手に「あなたにとっての平和の歌は何ですか」と尋ね、理由などを教えてもらいました。広島市の小学校などで広く歌われている「アオギリのうた」を作った中学生にも、歌への思いやエピソードを聞きました。
♪ アオギリのうた ♪ | |
作詞作曲の森光七彩さんに聞く | 気持ち素直に 今も演奏 |
広島市内の小中学校などで広く歌われている「アオギリのうた」。2001年に広島市が募集した「広島の歌」でグランプリに選ばれたこの歌は当時、広島市中区の千田小3年生だった森光七彩さん(15)が作りました。近くの国泰寺中を卒業したばかりの森光さんに取材しました。 森光さんが一番いいと思う歌詞は、最後の「広島のねがいはただひとつ せかい中のみんなの明るい笑顔」という部分です。世界の平和を願う気持ちを、分かりやすいようにうまく表現できたからです。 もともとは応募するためではなく、担任の先生に聞いてもらおうと作った歌だそうです。 森光さんは、父親から教わっている電子オルガンで、2度日本一になっています。東京や長崎市、北九州市などに演奏に招待されると、必ず「アオギリのうた」の弾き語りをします。歌ううちに「こどもの世代もこの歌を通して、平和について考えてほしい」と思いを込めるようになりました。 実際に演奏してもらいました。覚えやすいメロディーで、とても平和な曲だと思いました。詞だけを読んだときよりも、込められたメッセージが伝わりました。(中3・室優志) | ||
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アオギリのうた
作詞・作曲 森光七彩
電車にゆられ 平和公園
やっと会えたね アオギリさん 小学校の校庭の木のお母さん たくさん たくさん たね生んで 家ぞくがふえたんだね よかったね 遠いむかしのきずあとを 直してくれるアオギリの風 遠いあの日のかなしいできごと 資料館で見た 平和の絵 いろんな国の 人々や 私がみんなが考えてゆく広島を 勇気をあつめちかいます あらそいのない国 平和の灯 遠いむかしのできごとを わすれずに思うアオギリのうた これから生まれてゆく広島を大切に 広島のねがいはただひとつ せかい中のみんなの明るい笑顔 |
♪ 一本の鉛筆 ♪ | 広島市長 | 秋葉忠利さんおすすめ |
秋葉忠利・広島市長の好きな平和の歌は美空ひばりの「一本の鉛筆」です。国会議員だった15年くらい前、同僚の議員に「美空ひばりが広島の歌を歌っているのを知っているか」と言われ、初めて聴きました。「一本の鉛筆があれば8月6日の朝と書く」という歌詞から広島のことだと分かります。 「簡単な歌詞だけど、戦争反対という人間にとって大事なことがきちんと書かれているところが気に入っている」と言います。カラオケで歌うこともあるそうです。 日本を代表する歌手が主義主張を超えたところで原爆や戦争はいけないものだと訴えています。従来の反戦歌とは違うと感じたそうです。 2000年の平和宣言にはこの歌の歌詞を使いました。また昨春に亡くなった長崎の伊藤一長前市長が「広島にはこんな歌がある」と海外で紹介したというエピソードも話してもらいました。(高3・中重彩) |
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♪ ひろしま平和の歌 ♪ | 児童文学作家 | 那須正幹さんおすすめ |
「ズッコケ三人組」シリーズで有名な児童文学作家の那須正幹さん(65)=防府市=が挙げたのは「ひろしま平和の歌」です。毎年、平和記念式典で歌われている歌で、被爆者でもある那須さんは8月6日が近づくと口ずさむそうです。 「子どものころは、歌詞の意味が分からない部分もあった」と話す那須さん。大人になって、歌詞の意味を知り、3番の「いまわれら 手をさし伸べて その睦み ここに歌わん」という部分が気に入っています。世界に向け、平和を発信するという気持ちを感じるからだそうです。 3歳のとき、現在の広島市西区己斐本町の自宅で被爆し、小学5年生のときに初めて行った平和記念式典で、この歌を聴きました。「自分たちが大人になるころには、この歌のように、世界へ平和を訴える国になるんだ」と希望を感じたそうです。(高1・土江綾) | ||
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ひろしま平和の歌
作詞・重園贇雄 作曲・山本秀
雲白く たなびくところ
空のはて 東に西に おお高く こだまひびけと 鐘は鳴る 平和の鐘に いまわれら 雄々しく起ちて その栄え ここに興さん 波青く たゆとおところ 海のはて 南に北に おお遠く 祈りとどけと 鐘は鳴る 平和の鐘に いまわれら 試練を越えて その行手 ここに仰がん 風清く かがやくところ 国のはて 世界の友に おお熱く 想いかよえと 鐘は鳴る 平和の鐘に いまわれら 手をさし伸べて その睦み ここに歌わん |
♪ イマジン ♪ | 広島東洋カープ | 梵英心選手おすすめ |
広島東洋カープの梵英心選手の心に残る平和の歌は、ジョン・レノンの「イマジン」です。「想像してごらん」と呼び掛ける歌詞と、ゆったりとした曲調の一体感が気に入っているそうです。 分かりやすい歌詞で、状況を思い浮かべることができる、と話していました。両親も聴いていて、子どものころから親しんでいたそうです。「戦争が起きたときなどに、テレビで被害者の言葉とともにこの曲が流れてくると、悲しい気持ちになる。戦争がなくなればいいのに、と心から思う」と話していました。 練習中、球場のスピーカーから流れるいろいろな音楽は、梵選手が選んだものだそうです。気持ちを高めたいときや落ち込んだときなど、普段から音楽をよく聴くという梵選手は「歌には国境が無い。歌を通じてコミュニケーションが広がる。その力は大きい」と話していました。(高3・中重彩) |
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「平和」を訴え、多くの人に聞かれている曲を調べ、良いと思った3曲を紹介します。個人的な視点で「メッセージ性」「わかりやすさ」「メロディー」「親しみやすさ」「感動」の5つに5段階の点をつけました。(高3・菅近隆)
メンバー全員が沖縄県出身の三人組バンド。さわやかなボーカルと軽快なメロディーで、聞き心地のよい曲です。歌詞は沖縄から命や人を思う大切さを訴えています。貧困など世界の現状をストレートに書いた歌詞はとても印象に残ります。
米中枢同時テロに伴うチャリティーCDとして発売されました。浜崎あゆみが詞の中で、平和な世界を呼び掛けています。小室哲哉の作ったゆったりとしたメロディーに、浜崎あゆみとKEIKOのデュエットが合わさった美しい曲です。
アイルランドの人気バンドが、1998年8月に同国のオマで起きたテロに衝撃を受けて作った曲です。争いのむなしさが歌詞ににじみ、哀愁漂うメロディーが歌詞をさらに引き立てています。もう少しサビの盛り上がりがあれば良かったですが、エンディングで平和を求めるメッセージを繰り返す部分は印象に残りました。 |
児童文学作家の那須正幹さんと、広島東洋カープの梵英心選手のサイン色紙を読者プレゼントします。
応募する方は、はがきに、どちらの色紙がほしいかと、住所、名前、学校名と学年(既卒の方は職業と年齢)、電話番号を書いて、〒730―8677広島市中区土橋町7の1 中国新聞こども新聞編集部へ郵送してください。締め切りは4月1日(必着)です。
一言、ひろしま国の感想も書いてもらえるとうれしいです。色紙の発送をもって当選者発表とします。