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みんなの平和教室

 瀬谷ルミ子(日本紛争予防センター事務局長)
 

公正に、皆が認める指導者を選ぶという難題。

昨年末から年明けにかけて、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区へ攻め込み、激しい戦闘が行われた様子をニュースなどで目にした人もいると思います。今月18日にイスラエルが戦いをやめる宣言を出しましたが、多くの子どもを含む1000人以上が命を落とす事態となってしまいました。

瀬谷ルミ子 せや・るみこ

1977年、群馬県生まれ。中央大卒、英ブラッドフォード大学院修了(紛争解決学)。紛争後に兵士から武器を回収し社会復帰させることや平和構築が専門。NGO職員(ルワンダ)、国連ボランティア(シエラレオネ)、日本大使館書記官(アフガニスタン)、国連職員(コートジボワール)などとして紛争地での支援活動に携わってきた。2007年4月から日本紛争予防センター事務局長。

日本紛争予防センター http://www.jccp.gr.jp/
瀬谷さんのブログ「紛争地のアンテナ」
   http://ameblo.jp/seyarumi

この中東地域では、1948年に始まった第一次中東戦争以来、イスラエルとパレスチナ間の紛争が続いています。途中で何度か和平のための取り組みが進みましたが、イスラエルとパレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの対立が激化し、戦闘状態になりました。

3年前の2006年1月にパレスチナで行われた選挙で、イスラエルにテロ攻撃をしていたハマスが勝利したことで、イスラエルとパレスチナの間の溝がさらに深まったと言われています。一方、イスラエルでは、この2月に総選挙が行われます。今回は、紛争の被害から立ち直ろうとする国にとっても大きな意味を持つ「選挙」について考えたいと思います。


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争いが終わり和平合意が結ばれたあとに、難民・国内避難民の保護、治安改善、武器や元兵士などに対する対策、和解のための試みが行われると前回まで話をしてきましたね。国連や各国政府、非政府組織(NGO)など国際社会が中心となってこれらの支援をするなか、「選挙が公正に行われること」がその国が紛争からある程度立ち直った目安の一つとしてよく挙げられます。なぜでしょうか。

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選挙当日に投票所で投票の仕方の説明を受ける男性(ルワンダ、2000年3月筆者撮影)

紛争を経験する国々では、首相や大統領、政治家など国の運営を任される指導者が、住民による選挙もなく選ばれていたり、すべての住民が公平に選挙に参加できなかったり、選挙に不正があったりして、人々が本当に望まない指導者によって国が運営されていることが多いのです。

そのため、人々の多くが争いをしたくないと思っていても、その声が政治に届かない状態となり、一部の権力者や指導者の決定で紛争が起こってしまうことがあります。選挙によってきちんと人々の意見を吸い上げる政治家や指導者が選ばれることは、紛争国が住民の生活をないがしろにするような決定をしない国となる第一歩にもなるのです。


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日本では20歳以上の人はみんな投票できます。でも、「選挙をきちんと行う」ことは、それなりに体制を整えないとできないので、紛争直後の国ではその前に考えなければいけないことが山積みです。争いで何十年も選挙をしたことがない国もあるからです。

また国民の多くが争いで逃げたままの国で選挙をしても人々の意見を反映していることにはなりませんよね。テレビやラジオも普及していない国では、どうやって選挙や候補者について知ってもらえばいいでしょう。何十年も争いをしてきた国では、読み書きできない人もたくさんいるのに、どうやって投票用紙に記入するのでしょう。投票のときにまだ武装した人たちがいて怖がって来られない人々がいる場所ではどうしたらいいでしょう。選挙の間に不正が行われるのを、どうやってふせげるでしょう。

これらの状況をふまえて、日本で選挙をするときにどうしているかについて大人から話を聞いたり想像したりしながら、今回の課題について考えてみてください。

 


今回の課題

紛争が終わった国で、大統領を選ぶための選挙を行うことになりました。できるだけ多くの人が選挙について理解し、投票に参加するために、どんな対策や支援が必要でしょうか。
※締め切りは2月1日(必着)です。
 
 
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