1977年、群馬県生まれ。中央大卒、英ブラッドフォード大学院修了(紛争解決学)。紛争後に兵士から武器を回収し社会復帰させることや平和構築が専門。NGO職員(ルワンダ)、国連ボランティア(シエラレオネ)、日本大使館書記官(アフガニスタン)、国連職員(コートジボワール)などとして紛争地での支援活動に携わってきた。2007年4月から日本紛争予防センター事務局長。
皆さん、はじめまして。非政府組織(NGO)日本紛争予防センター(JCCP)の瀬谷ルミ子です。世界の紛争と平和についてのこのコーナーを担当します。私が事務局長を務めるJCCPは、アジアやアフリカの国々で、武力紛争が起こった後に武器回収や職業訓練、農村開発などをして再発を防いだり、紛争が起こらないように、現地の人々と支援をする人々両方に平和研修をするなどの事業をしています。
私が紛争と平和の問題に関心を持ったのは、高校生の時。1994年に発生したルワンダ内戦で、病気の母親を起こそうとするルワンダ難民の子どもの写真=下=を見たことがきっかけでした。14年前の私は、その子どもと自分の間にあるのはカメラたった一つなのに、2人の境遇には大きな差があるという世界のしくみに、多くの「なぜ」を感じました。そして、紛争が起こらないようにするにはどうすればいいのか知りたいと思い、イギリスの大学院で紛争解決について学び、アフガニスタンやアフリカなどの紛争地で働いてきました。
「紛争」と聞いたとき、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。紛争という言葉に対する負の印象をまず感じる人もいれば、テレビや新聞で目にするイラクやアフリカの様子をイメージする人もいるかもしれません。
では「平和」という言葉からは、何を想像しますか。世界の紛争地では、原爆と戦争の被害を経験したヒロシマの姿を自分たちと重ねて親近感を持つ人が少なくありません。戦後立ち直った広島と日本を平和と復興の象徴として、自分たちの国にも役立つヒントを教えてほしいと言う人もいるんですよ。
1994年7月、ザイール(当時)のゴマ近郊にある難民キャンプで、病気のため昏睡(こんすい)状態の母を起こそうとするルワンダの多数派フツ人の子ども(AP=共同) |
1回目の今回は、紛争解決トレーニングでもよく使われる今回の課題を皆さんに考えてほしいと思います。紛争は、必ずしも遠い世界のことではありません。人が2人いて意見が対立すれば、争いは起こりうるからです。ということは、私たちの日常生活の中からも争いを防いだり、うまく解決したりするヒントが見つかるかもしれませんね。
紛争地の現場で起きていることやジレンマなどの具体例も紹介しながら、これから紛争と平和について皆さんと一緒に疑問を持って、その答えを考えて行きたいと思います。
みなさんの心と頭のアンテナを使って考えた意見をどんどん送ってくださいね。
今回の課題 |
2人が一つのオレンジを取り合っています。2人とも半分では足りず、そのオレンジが1個必要だと言って譲りません。どんな解決方法があると思いますか ※締め切りは5月3日(必着)です。
|