保有国が核廃絶を確約 NPT会議閉幕 |
'00/5/21中国新聞スポットニュース |
【ニューヨーク20日共同=石山永一郎】国連本部で開かれていた 核拡散防止条約(NPT)再検討会議は二十日、保有国が初めて一 致して核兵器廃絶を明確に約束するなどの内容を盛り込んだ最終文 書を全会一致で採択し、閉幕した。
最終文書には@戦術核のさらなる削減A兵器用核分裂物質生産禁 止(カットオフ)条約交渉の五年以内の妥結B包括的核実験禁止条 約(CTBT)の早期発効―など核軍縮をめぐる重要な合意も盛り 込まれ、二十一世紀に向けた今後五年間の核廃絶の道筋を示した。
アナン国連事務総長は声明で「歴史的合意」と会議の成果を高く 評価した。
しかし、自国の防衛上の利益などに根ざす「核保有国のエゴ」は 今会議でも目立ち、廃絶の道筋の険しさも浮き彫りにした。
「新たな軍拡競争を招く」との批判にもかかわらず、米国が本土 ミサイル防衛(NMD)構想のために修正を狙う弾道弾迎撃ミサイ ル(ABM)制限条約について最終文書は「戦略的安定のかなめと して維持、強化する」と表現、「強化」に修正の含みを残した。イ ンド、パキスタンの核実験については「憂慮する」と言及した。
最終文書採択の直前に、核査察関連の文言でイラクと米国が対立 して会議全体が停止。徹夜交渉の末、イラク批判を弱めて決着した が、全会一致が常に必要なNPT体制の危うさも示した。
四週間にわたった会議では、被爆地を代表して伊藤一長・長崎市 長が演説、自国の核開発を批判するインドの非政府組織(NGO) もNGOとして初めて公式会合に参加した。
メキシコ、スウェーデンなど核廃絶を強く主張するグループ「新 アジェンダ連合」(NAC)は、廃絶の約束をあいまいにしようと する保有国を激しく批判、大幅譲歩の引き出しに貢献した。
【写真説明】20日、国連総会議場でNPT再検討会議閉幕後に笑顔で記念撮影する各国代表ら(共同)
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