核のごみ地下で永久貯蔵 |
計画25年搬入始まる | ||
「対策の切り札」に賛否 | 米ニューメキシコ州 |
米国で原爆製造が始まった第二次大戦中の「マンハッタン計画」以来、半世紀以上にわたって続く放射性廃棄物の蓄積。米エネルギー省(DOE)は、核兵器開発に伴う「核のゴミ」の処理対策の切り札として、ニューメキシコ州南東部の砂漠地帯に国内初の永久貯蔵施設を建設し、このほど同州のロスアラモス国立研究所から、最初のプルトニウム汚染物質を運び込んだ。搬入後、日本人ジャーナリストとして初めて同施設を訪れた。
(田城 明)
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核軍拡競争が続く一九七五(昭和五十)年に用地が決まってからほぼ四半世紀。既に二十億ドル(約二千四百億円)以上の資金を投入しながら、これまで連邦や州の環境保護規制、住民や州政府による訴訟などで十年余足踏み。三月末に連邦裁判所が搬入許可を与え、ようやく稼働を始めた。 ハンフォード(ワシントン州)など全米二十三カ所の核兵器関連施設から、専用トラックでWIPPに運び込まれる既存の廃棄物は、防護服や手袋、道具類など、ほとんどがプルトニウム汚染物質である。同じ種類の廃棄物でも搬入対象が七〇年以降に生み出された地上保管分のみのため、計画通り進んでもこれまでに蓄積された全体量の一・九パーセントに過ぎない。 「われわれは核兵器を製造することで冷戦に勝利した。しかし、冷戦の遺産である放射性廃棄物のクリーンアップはまだできていない」―ビル・リチャードソン・エネルギー長官もこう認める。WIPPの開所が同長官が言うように「解決への第一歩」となるかどうか。専門家の中には「地上で最も汚染された場所を新たにつくることにしかならない」との批判もある。
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