54回目の広島原爆忌 核廃絶と平和へ誓い
'99/8/6
被爆地広島は六日、被爆五十四周年の「原爆の日」を迎えた。広 島市中区の平和記念公園で午前八時から、市主催の原爆死没者慰霊 式・平和祈念式(平和記念式典)が開かれる。被爆者や遺族代表ら が二十一万人余の原爆犠牲者を追悼し、核兵器廃絶と世界平和の実 現を誓う。
式典では、最初に秋葉忠利市長と二人の遺族代表が原爆死没者名 簿を原爆慰霊碑に奉納する。この一年間に亡くなったり、死亡が確 認された被爆者は五千七十一人。名簿登載者の総数は二十一万二千 百十六人となり、名簿は二冊増えて七十三冊となった。
四十三都道府県から参列する遺族の代表、被爆者代表らに続き、 小渕恵三首相らが慰霊碑に献花する。
原爆が投下された午前八時十五分、遺族代表の三山真由美さん (37)とこども代表の緑井小六年石谷拓也君(11)が平和の鐘を打ち鳴 らし、参列者全員が黙とうする。市内の寺院の鐘や各所のサイレン も鳴り響き、バス、電車内でも乗客に黙とうを呼び掛ける。
続いて秋葉市長が平和宣言を読み上げる。核兵器廃絶のために闘 ってきた被爆者の足跡を高く評価し、その意志を継承するよう若い 世代に呼び掛ける。この後、広島市内の小学六年の男女二人が「平 和への誓い」を読み上げ、小渕首相らがあいさつを述べる。
広島市が核保有国など七カ国の駐日大使に参列を要請したのに対 し、パキスタンのトキール・フセイン大使だけが昨年に続いて参 列。このほかユーゴスラビアとパラグアイの大使が式典に臨む。
今回、高齢化する被爆者、遺族のために、一般席の南東の一角に 四百席分の日よけ用テントを初めて設けている。
午後七時から原爆ドーム前で開かれるピースキャンドル会場で は、秋葉忠利市長が英語で平和宣言を、ユーゴスラビアなど四カ国 の大使らが平和メッセージを読み上げる。
【写真説明】「原爆の日」を前に、夜になっても祈りの列が続く原爆慰霊碑(5日午後7時30分、広島市中区の平和記念公園)