広島で原水禁国際会議始まる
'99/8/3
被爆54周年原水爆禁止世界大会国際会議(原水禁系)が二日、広 島市南区のワークピア広島を会場に二日間の日程で始まった。日本 を含む十カ国十六人が参加し、核軍縮が足踏みする中、核兵器の先 制不使用をめぐる問題や南アジアの非核化について討議した。
北大西洋条約機構(NATO)内での核兵器先制不使用をめぐる 議論について、ドイツなど欧州の反核・平和の非政府組織(NG O)の代表は「ドイツ政府は先制不使用を進めようとしたが、米、 英両国などの拒絶で台無しになった」と核保有国の政策を非難し た。
印パ両国の代表は核実験から一年後の実態を報告。インドの反核 団体の中心メンバー、アチン・バナイク氏は「軍事衝突が核攻撃に 転じる危険性がある」との懸念を表明した。パキスタンのカイゼア ザム大のペルベース・フッドボーイ教授は「さらに緊張感が高まれ ば、先進国が両国へ経済圧力を掛けることも必要になる」と述べ た。
七月末にまとまった「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラ ム」の報告書に対して、大阪大の黒沢満教授は「実行可能な措置が 盛り込まれ、会議の目的に沿った内容」と評価しながらも、「北東 アジアの非核地帯化など、踏み込んだ内容も欲しかった」と注文を 付けた。
一方、原水協系の原水爆禁止1999年世界大会は、三日の開会 を前に、海外代表の第一陣が二日、広島入りした。大会を通じて二 十カ国と五つの国際団体の六十五人が参加する予定。インド・ポカ ラン核実験場の周辺住民は参加できなくなった。
【写真説明】核兵器の先制不使用問題などを討議した原水禁系の原水爆禁止世界大会国際会議