世界連帯都市市長会議
ヒロシマ・ナガサキアピール
長崎で連帯都市市長会議が閉幕
世界平和市長会議、広島での討議終了
世界平和連帯都市会議、広島で開催
海外代表らが慰霊碑に献花
「世界平和 連帯都市市長会議」開会式
平和な21世紀創造を―連帯市長が回答

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世界平和連帯都市市長会議
ヒロシマ・ナガサキアピール

(全文)  二十世紀は世界大戦の世紀であり、数多くの市民を巻き込む残虐 な時代であった。特に第二次世界大戦では広島と長崎に人類史上初 めて原子爆弾が投下され、ヨーロッパでもアジアでも非戦闘員に対 する集団殺害が行われるなど、人間の行為の恐ろしさが浮き彫りに された。

 今世紀後半には先進国と途上国の経済的格差が一気に拡大した。 その結果、途上国の貧困は極度に進み、貧困や紛争などに起因する 飢餓や疾病が広がり、難民が増加し、人権が抑圧され、児童や女性 に対する迫害が続発するなど、平和を脅かす諸要因が世界各地で深 刻化した。

 さらに、地球の温暖化、オゾン層の破壊、廃棄物の急速な増加、 海洋汚染、砂漠化現象など、地球は、核兵器の脅威と相まって有史 以来の環境的危機に直面することになった。

 また、今世紀は科学技術が飛躍的に進歩し、経済、産業、情報・ 通信、交通などの水準は画期的な変化を遂げた。反面、ほとんどの 国家は国際協調よりも国益を優先したり、人間を忘れた経済中心の 傾向を強めたりし、それが人間の生活をさまざまな形で脅かし始め ている。

 このような状況のもと、われわれ世界三十三カ国百十七都市の代 表は、広島・長崎両市で開催された第四回世界平和連帯都市市長会 議に参加し、基調テーマである「平和・公正・自由―世界の調和を 目指して」に沿って討議を重ねた。

 その結果、われわれは、今世紀の歴史が示す教訓に学ぶことを通 して、われわれを包む混迷と不安を解決できると確信した。そのた めに、人権と人道を高く掲げることによって市民社会の力をより一 層強めるとともに、都市の国際的連帯を通して市民相互の絆(きず な)を固める決意を表明する。同時に、各都市は国家の壁を超え、 人種、性、年齢の違いを超えて、二十一世紀を「平和の世紀」とす るため、次のことを確認した。

 1 核兵器など大量破壊兵器の廃絶及び通常兵器の大幅削減へ向 けて国際世論をより一層高める。

 2 次の世代を担う青少年に「平和を愛し、人々と連帯する心」 を広めるため、各都市は教育を通じて、平和文化の創造に努める。

 3 貧困、差別、暴力、環境破壊など都市共通の諸問題を解決す るために各都市は多面的に協力し合う。

 さらに、市長会議の総意として、次のことを各国政府及び国際機 関に要求する。

 1 核兵器の廃絶に向けて、包括的核実験禁止条約(CTBT) の早期発効と兵器用核物質生産禁止(カット・オフ)条約交渉の早 期開始を求めるとともに、次の三項目を実現すること。

 (1)核兵器禁止国際条約の締結  (2)臨界前核実験の即時全面中止  (3)非核兵器地帯の地球規模への拡大

 2 核兵器の削減・解体、及び原子力の非軍事的利用から生じる 核廃棄物の処理にあたっては、その安全性に万全の考慮を払うこ と。

 3 生物・化学兵器を禁止する条約の遵守(じゅんしゅ)に加え て、対人地雷の生産と移転を全面的に禁止する実効性のある条約を 締結するとともに、その除去のための国際協力体制を整備するこ と。

 4 兵器の削減などにより軍事費を縮小し、それによりもたらさ れる膨大な資金を「平和の配当」として環境保護や貧困の解消など に効果的に活用し、あわせて産業構造の軍民転換を図ること。  5 軍縮にかかわる諸問題の総決算として、一九九六年に国連総 会で決議された第四回国連軍縮特別総会(SSD)の開催を今世 紀中に実現すること。

 以上の点を決議し、われわれは一九九七年の広島及び長崎の平和 宣言を強く支持する。また、各都市の政治、文化、宗教などの多様 性を認識したうえで連帯し、戦争の恐怖に脅えることなく、市民が 平等に豊かさを享受し、基本的人権を保障される社会の実現を目指 して、ともに努力することを誓う。

 一九九七年八月九日  第四回世界平和連帯都市市長会議



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長崎で連帯都市市長会議が閉幕

'97/8/10

 広島、長崎の両被爆地に日本を含め世界三十三カ国の都市代表が 集った第四回世界平和連帯都市市長会議は九日、長崎市内のホテル で全体会議と閉会式を行った。「ヒロシマ・ナガサキアピール」を 採択し、四日に広島市でスタートした会議は閉幕した。

 閉会式には、海外七十三都市と国内二十七都市の代表合わせて百 九十三人が出席。会議の会長を務める広島市の平岡敬市長が、全参 加者の総意となる「ヒロシマ・ナガサキアピール」を読み上げた。

 アピールは「二十一世紀を『平和の世紀』とするために」と提 起。(1)核兵器など大量破壊兵器の廃絶、通常兵器大幅削減に向けた 国際世論の一層の喚起(2)青少年に「平和を愛し、人々と連帯する 心」を広めるため、教育を通じた平和文化の創造(3)貧困、差別、暴 力、環境破壊など都市共通の問題を解決するための多面的な協力― の三点を確認事項として盛り込んだ。

 また「包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効と兵器用核 物質生産禁止(カット・オフ)条約交渉の早期開始」を、各国政府 と国際機関に要求。同時に核兵器禁止国際条約の締結や臨界前核実 験の即時全面中止、非核兵器地帯の地球規模への拡大なども求めて いる。

 一方、この日の全体会議の中では「核廃棄物の危険性は見過ごせ ず、原発を否定することも重要」との意見も出た。しかし原子力の 平和利用を認める参加都市も多く、原発問題はアピールには盛り込 まなかった。

 世界平和連帯都市市長会議は二年後に理事会を開き、新たな非政 府組織(NGO)との連携策や二〇〇一年に開く次回会議のあり方 について検討する。


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世界平和市長会議、広島での討議終了

'97/8/7

 第四回世界平和連帯都市市長会議は六日、広島市中区の広島国際 会議場で全体会議2と二つの分科会を開き、広島での二日間の討議 を終えた。

 「市民の力で核兵器のない世界を」がテーマの全体会議では、都 市の連帯で核兵器廃絶の世論を高めようという発言が相次いだ。そ の活動母体として市長会議を強化すべきだとの観点から、スリラン カの都市代表は市民団体など非政府組織(NGO)をメンバーに加 えるよう提案。核保有国のフランスから参加した都市代表も市長会 議の後押しによる被爆資料の巡回展開催を提唱した。

 分科会「包括的核実験禁止条約(CTBT)以降、核廃絶のため に何をするか」では、核保有国からの都市代表が、国に政策転換を 求めて活動している事例を報告。「科学技術の進歩と新しい社会シ ステムの構築」の分科会では、貧困の根絶や環境保護に対する都市 の役割を中心に討議した。

 会議は八日から長崎市内のホテルで再開。九日、「ヒロシマ・ナ ガサキアピール」を発表して閉幕する。


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世界平和連帯都市会議、広島市で開会

'97/8/5

 「平和・公正・自由―世界の調和を目指して」を基調テーマとす る第四回世界平和連帯都市市長会議は五日午前、広島市中区の広島 国際会議場で開会式を行った。海外三十二カ国の七十五都市と国内 四十自治体から合わせて二百三十九人が参加した。

 開会式で平岡敬広島市長は「二十世紀をどう総括し、新しい世紀 に向けて世界が抱える多くの課題にどう取り組んでいくかが問われ ている。来る二十一世紀を希望の世紀とするために、われわれが果 たすべき役割について討議したい」とあいさつした。

 その後、米国スミソニアン航空宇宙博物館のマーティン・ハーウ ィット前館長が特別講演。「徹底的に記録され、冷静に収集され、 広く一般に公開された歴史の収集品こそが、世界平和に不可欠」と 述べ、歴史の教訓を人類の未来のために活用する必要性を強調し た。

 さらにハーウィット前館長は、同博物館が原爆投下五十周年を機 に立案した被爆資料の展示計画を振り返り、計画を中止に追い込ん だ退役軍人らの動きを強く批判。各国の歴史博物館の政治的独立を 保障し、それらを国際的なネットワークで結び歴史を検証し合う共 同作業を都市間の連帯で実現するよう提唱した。

 開会式に先立ち、参加者は平和記念公園の原爆慰霊碑に献花し、 原爆資料館を見学した。午後は全体会議Tを開き、「二十世紀の教 訓と二十一世紀への課題」をテーマに本格的な討議に入った。

【写真説明】広島国際会議場で行われた連帯都市市長会議開会式。あいさつするのは平岡広島市長


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海外代表らが慰霊碑に献花

'97/8/5

 広島市で開幕した第四回世界平和連帯都市市長会議に参加の海外 代表らは五日朝、開会式を前に平和記念公園の原爆慰霊碑に献花し た。続いて原爆資料館を見学し、被爆の実相を示す遺品の前で「ノ ーモア・ヒロシマ」の誓いを新たにした。

 国内外の代表約百九十人は午前八時半、平和記念公園に到着。広 島市職員から渡された白菊を手に原爆慰霊碑前に進み、一人ひとり が献花した。じっとぬかづく中東の都市代表、胸の前で十字を切る 欧州の市長、手を合わせるアジアからの参加者…。それぞれが原爆 犠牲者のめい福を祈った。

 原爆資料館では、原爆投下直後の廃虚の街並みを再現したパノラ マ模型の前で、原田浩前館長の説明にじっと聞き入った。熱線、爆 風、放射線と、核兵器の恐怖を示す被爆資料に、表情を曇らせる海 外代表の姿も。約一時間かけ「ヒロシマ」を追体験した。

 マレーシア・クチンノース市長のアワン・ジョイーニさん(57)は 「焼け焦げた服を見て、決して核兵器は使用してはならないと再認 識した」。メキシコ・エルモシーヨ市総務局長のゲルマン・ロハー ルさん(39)は「複製された被爆者の生々しい姿に、胸が締め付けら れた。被爆の実態を伝えるビデオを買って帰り、地元の図書館に寄 贈してみんなに見てもらいたい」と話した。

【写真説明】連帯都市会議開会式を前に、平和記念公園の原爆慰霊碑に献花する参加者(5日午前8時50分)


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「世界平和 連帯都市市長会議」開会式



 「平和・公正・自由―世界の調和を目指して」を基調テーマにした「第四回世界平和連帯都市市長会議」は五日午前、広島市平和記念公園内の広島国際会議場で開会式を行い、広島での二日間の討議に入った。 開会式では平岡敬広島市長が「二十一世紀を希望の世紀にしていくためにわれわれが果たすべき役割について討議したい」とあいさつ。続いて米国スミソニアン航空宇宙博物館のマーティン・ハーウィット前館長が特別講演した。 午後からは「二十世紀の教訓と二十一世紀への課題」をテーマに本格的な討議が始まった。







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平和な21世紀創造を―連帯市長が回答

'97/7/28

 地球規模の都市ネットワークで、核兵器廃絶と世界平和の実現を 目指す第四回世界平和連帯都市市長会議(八月四―九日)を前に、 中国新聞社は海外からの参加予定都市を対象に会議への期待などに ついてアンケートした。回答を寄せた二十八カ国・地域、四十四都 市の市長らは、今世紀最後となる連帯都市会議に対し「平和な二十 一世紀創造への足がかりをつかみたい」などのメッセージを寄せ、 大きな期待をかけている。

 アンケートでは、二度の世界大戦を経験した二十世紀をどのよう に総括しているか、昨年九月に調印した包括的核実験禁止条約(C TBT)など核状況ついての認識、さらに民族紛争や環境問題、各 都市の平和教育の取り組みなどについて尋ねた。回答は記述式で求 めた。

 アンケートに併せて寄せられたメッセージは「会議を通じて世界 が友情で結ばれるように」(スリランカ・コロンボ市)など、連帯 都市会議に強い期待を表したものがほとんどとなっている。

 さらに、発展途上の都市ばかりでなく、先進国の都市からも「貧 しい国と豊かな国の関係是正の機会になることを信じている」(フ ランス・ナンテール市)など南北間格差の是正や、環境問題への対 応について、都市が連帯して解決に取り組もう、という姿勢が目立 った。

 会議では、核兵器廃絶へ向けた都市の役割を中心に、飢餓や民族 紛争への対応など、人々の暮らしに密着した問題も大きなテーマと なる。


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