被爆地広島は六日、被爆五十六周年の「原爆の日」を迎えた。新
世紀初の原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)は、広島
市中区の平和記念公園で開かれ、五万人(市発表)が参列。秋葉忠
利市長が「二十一世紀の広島は人道都市として大きく羽ばたきた
い」と平和宣言した。
前日までの猛暑から一転、この日の朝は雲が広がった。午前八
時、秋葉市長と遺族代表が原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に納めた。
この一年間に亡くなったり、死亡が確認された被爆者は四千七百五
十七人。名簿登載者の総数は二十二万千八百九十三人になり、名簿
は二冊増えて七十七冊になった。市内の被爆者の平均年齢(三月末
現在)は七〇・一歳。初めて七十歳代に乗り、高齢化がまた進ん
だ。
平野博昭市議会議長の式辞の後、遺族代表、被爆者代表、小泉純
一郎首相らが献花。市民代表では、昨年の平和宣言で提唱した「和
解」の象徴として在日本大韓民国民団(民団)広島県地方本部と在
日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)広島県本部の代表が初めて「ワン
コリア」として合同で献花した。
原爆が投下された八時十五分、「平和の鐘」が打ち鳴らされる
と、参列者は黙とうをささげた。
秋葉市長は平和宣言で「二十一世紀を核兵器のない、『平和と人
道の世紀』にするため全力を尽くすことを宣言します」と強調。
「世界の指導者は核兵器廃絶の強い意志、和解や人道を重視する勇
気を」と訴え、日本政府に在外被爆者への援護策充実などを求め
た。
小泉首相は「九月に開かれる包括的核実験禁止条約(CTBT)
発効促進会議が成功するよう努力する」とし、「核兵器の廃絶に全
力で取り組む」と述べた。
国連関係者としては六年ぶりに参列した大島賢三事務次長は、広
島の被爆者。「この新しい世紀に、広島、長崎の悲劇を二度と繰り
返してはならないという厳粛な誓いを新たにしよう」と、アナン事
務総長のメッセージを代読した。
【写真説明】平和宣言を読み上げる秋葉市長
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