きょう広島原爆の日

'00/8/6

　人類最初の被爆地広島は六日、惨禍から五十五周年の「原爆の 日」を迎えた。広島市中区の平和記念公園では午前八時から、今世 紀最後となる市主催の原爆死没者慰霊式・平和祈念式（平和記念式 典）が開かれる。被爆者や遺族代表らが二十一万七千人余の原爆犠 牲者を追悼し、核兵器廃絶と恒久平和実現への努力を誓う。

　式典では、秋葉忠利市長と二人の遺族代表が原爆死没者名簿を原 爆慰霊碑に奉納する。この一年間に亡くなったり、新たに死亡が確 認されたりした被爆者は五千二十一人で、二年続きで五千人を超え た。名簿登載者総数は二十一万七千百三十七人に上り、名簿は二冊 増えて七十五冊となる。

　四十三都道府県から参列する遺族代表や被爆者代表らの後、森喜 朗首相、綿貫民輔衆院議長、斎藤十朗参院議長、津島雄二厚相らが 慰霊碑に献花。先の核拡散防止条約（ＮＰＴ）再検討会議で議長を 務めたアブダラ・バーリ氏（アルジェリア国連大使）も続く。

　午前八時十五分ちょうど。遺族代表の広島市南区の尾津太康さん (31)と子ども代表の志屋小六年矢野麻美さん(11)が打ち鳴らす「平 和の鐘」を合図に参列者全員が黙とうする。市内のあちこちで寺院 の鐘やサイレンなどが鳴り響き、犠牲者のめい福を祈る。

　この後、秋葉市長が平和宣言。核兵器廃絶の悲願を二十一世紀に 達成するために、広島が科学技術と人類、そして国際的な対立の 「和解」に向けて先頭に立つ決意を表明する。続いて、小学六年の 男女が平和の誓いを読み上げ、森首相、衆参両院議長ら来賓五人が あいさつする。

　式典にはロシアのパノフ駐日大使が、核保有五カ国の駐日大使と しては初めて参列する。

　秋葉市長はこの日午後八時十五分から、原爆ドームそばで昨年に 続き英語で平和宣言をする。併せて、市の呼び掛けにこたえパラグ アイ、マラウイ、バングラデシュ、チェコの四カ国の首脳から届け られた平和メッセージをそれぞれの国の駐日大使らが読み上げる。 この様子はインターネットで世界に発信される。

【写真説明】ライトアップされ、夜のやみに浮かび上がった原爆ドーム。核兵器の悲惨さを伝える役割は新世紀に入っても続く（５日午後８時４０分、広島市中区）

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