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被爆姉妹の体験記英訳 ノートルダム清心中・高の卒業生 7日出版 「世界中に届いて」

 東京と米国に暮らすノートルダム清心中・高(広島市西区)の卒業生3人が、広島で被爆した姉妹の体験記を英訳し、7日に出版する。ローマ教皇フランシスコの被爆地訪問を受けてカトリック信者の間で核兵器廃絶への思いが強まる中、出版に関わった人たちは被爆の実態を海外に伝える1冊になればと期待する。(河野揚)

 「HIROSHIMA」(一灯舎)は、大阪府吹田市の水江顕子さん(82)が自身の体験と、姉の高梨曠子(ひろこ)さん(90)=東京都町田市=からの聞き取りを2007年にまとめた冊子がベース。竹原市に疎開中で難を逃れ、今は東京都杉並区で暮らす兄の石田護さん(86)が英文で寄せた手記も収める。

 あの日。市立第一高等女学校(現舟入高)4年生の曠子さんは横川駅(現西区)で両脚に大やけどを負った。千田国民学校(現千田小)2年生の顕子さんは平野町(現中区)の自宅で被爆。目立った外傷はなかったが、仲良しだった近所の道子ちゃんを失った。

 顕子さんは被爆60年の05年、被爆体験を手記に残そうと思い立った。2年かけて冊子にまとめ、原爆資料館(中区)や知人に贈った。これに目を留めたのが東京都武蔵野市に拠点を置くナミュール・ノートルダム修道女会のシスター渡辺愛子さん(80)だった。

 渡辺さんは同会の聖書勉強会で英訳を提案。教皇訪日や被爆75年を控えた昨年、同中・高時代の教え子で都内在住の主婦2人が手を挙げた。水越緑さん(59)と向井雅恵さん(57)。水越さんの姉で同窓の米イリノイ州に住む会社員尾崎香さん(60)も加わった。

 「小さな子どもも読みやすい文章にした」と水越さん。完成まで約1年を費やし「世界中のいろいろな人に届いてほしい」と話す。自らの体験が英訳されたことに曠子さんは「多くの人に原爆の悲惨さを知ってもらいたい」と願う。

 「HIROSHIMA」はA5判、76ページ。1100円。主にインターネットでの販売を予定している。一灯舎☎03(6686)7456。

(2020年8月5日朝刊掲載)

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