[コロナ禍の8・6] 被爆者と画面越し対話 広島県内外の若者60人 ウェブで平和学習
20年8月3日
証言触れる貴重な機会に
県内外の若者たちと広島の被爆者がウェブ会議システムを使って対話するワークショップが1日、開かれた。新型コロナウイルス禍で被爆地への訪問や証言に触れる機会が少なくなる中、若者たちは当時の惨状に聞き入り、核兵器廃絶や平和への思いを新たにした。(畑山尚史)
県内をはじめ、北海道や東京都、フィリピンに住む小中高生や大学生、社会人の約60人が自宅などから参加した。エソール広島(広島市中区)にいる被爆者の梶本淑子さん(89)=西区=とパソコン画面上で対面。梶本さんの小学校時代のクラス写真などを見ながら質問した。
爆心地から2・3キロの軍需工場で被爆した梶本さんは、足の骨が見えるほどのけがを負ったことなどを語った。「一番つらい体験は何か」との質問には「戦後、父を亡くし、母は長く入院していた。病院代を稼ぎ、3人の弟を食べさせるために働いた。つらく、投げやりな気持ちにもなった」と振り返った。
神奈川県小田原市の大学3年久米啓天(けいた)さん(20)は「被爆体験だけでなく、戦前、戦後の話も聞くことができた」と話していた。
ワークショップは、いずれも任意団体の「第三世代が考えるヒロシマ『 』(かっこ)継ぐ展」と、教育をテーマに活動する「問い立てラボ」が共同で企画した。
(2020年8月2日朝刊掲載)