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挑戦の画業 多角的に 2日から丸木位里展 奥田美術館 「原爆の図」など100点

 奥田元宋・小由女美術館(三次市東酒屋町)で2日、開館15周年特別展「墨は流すもの―丸木位里(いり)の宇宙」(中国新聞社など主催)が始まる。1日、同館で内覧会があり、原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市)の学芸員が関係者約20人に見どころを紹介した。(石川昌義)

 広島市安佐北区出身の画家、丸木位里(1995年に94歳で死去)の最初期から晩年までの作品約100点を集めた特別展。1920年代に描いた初公開の美人画や屛風(びょうぶ)絵、妻で洋画家の丸木俊(とし)(2000年に87歳で死去)と共同制作したシリーズ「原爆の図」などを一堂に集めた。

 俊の戦時中の絵日記や、70歳を超えて絵筆を執り始めた位里の母スマ(56年に81歳で死去)が被爆直後の光景を描写した掛け軸「ピカドン」など、家族の作品も多く展示する。沖縄戦や公害問題にも関心を広げた社会派作家の画業を多角的に伝えている。

 内覧会では、原爆の図丸木美術館の岡村幸宣学芸員が「戦前の前衛的な作品から戦後の大作に受け継がれる芸術的挑戦を一覧できる見事な構成」と評価。俊のめい、丸木ひさ子さん(64)=東松山市=は「人生をまるごと表現したような作品展。古里、広島での開催が実現して本当によかった」と笑顔を見せた。

 特別展の開幕は、新型コロナウイルスの影響で当初の4月25日予定から約2カ月遅れとなった。  一般千円、男女ペア1800円、大学高校生500円、中学生以下無料。8月16日まで。8月12日を除く水曜休館。☎0824(65)0010。

(2020年7月2日朝刊掲載)

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