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未成年から喫煙続けると… 寿命8~10年縮む可能性

 未成年でたばこを吸い始めて禁煙しなかった人の寿命は、たばこを吸わない人より8~10年縮まる可能性があることが21日、放射線影響研究所(放影研、広島市南区)と英オックスフォード大の研究で分かった。35歳までに禁煙すると死亡リスクが低くなるとの結果も出た。

 放影研の被爆者の健康調査を基に調べた。1963~91年に実施したアンケートや問診で喫煙状況を把握できた広島、長崎の被爆者約6万8千人を対象に、吸い始めた年齢や寿命を分析した。

 その結果、20歳までに喫煙を始めた男性(1920~45年生まれ)のうち70歳まで生きたのは72%だった。これを吸わない男性の集団に当てはめると、72%の人が78歳まで生きたという。女性の場合、寿命の差はさらに広がり10年だった。

 一方、20歳までに喫煙を始めても35歳までに禁煙した人は、たばこを吸ったことがない人と寿命に大きな差はなかった。

 日本人を対象にしたこれまでの疫学調査では、喫煙が寿命を短くする影響は数年とされていた。放影研は、従来の調査は喫煙量が比較的少ない1920年代以前に生まれた人を多く含んでいるとし、「喫煙リスクが過小評価されていた」と指摘している。(田中美千子)

(2012年11月22日朝刊掲載)

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