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「これが戦争の結末」 広島の細川さん 妹の被爆遺品 資料館寄贈 継承へ強い思い

 県立広島第一高女(現皆実高)1年の時、学徒動員中に被爆死した森脇瑤子さん=当時(13)=の遺品である制服など計5点が5日、広島市の原爆資料館に寄贈された。兄で被爆者の細川浩史さん(90)=中区=が、大切な妹の形見を託す決意をした。「これが戦争の結末だと、皆さんがわが事と受け止めるきっかけにしてほしい」と力を込めた。

 瑤子さんは1945年8月6日に爆心地から約700メートルの土橋町(現中区)付近で建物疎開の作業中に被爆。同日夜、収容先で亡くなった。亡くなる前日まで付けていた日記を基に1996年、細川さんが出版した著書が反響を呼んだ。

 寄贈したのは、あの日の作業前の集合場所に瑤子さんが荷物として残した防空ずきん、手縫いの夏服、弁当箱と箸、包帯や軟こうを集めた救急袋。死後、焼け跡で奇跡的に発見され、日記の原本とともに戦後、自宅で保管していた。

 細川さんは志賀賢治館長に遺品にこもった思いを語り、「亡き父母も妹の分身のように思っていた。末永く保管し、将来のため役立ててもらいたい」と要望。資料館は今後の新着資料展や本館リニューアル後の展示計画に盛り込む方針という。(金崎由美)

(2018年2月6日朝刊掲載)

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