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核兵器と戦争 廃絶を 国連軍縮会議 広島で開幕

 「核兵器なき世界」実現への具体策を話し合う国連軍縮会議が29日、広島市中区の広島国際会議場で2日間の日程で始まった。12カ国・2機関から外交官や軍縮の専門家たち計55人が出席。非人道的な原爆被害を踏まえ、7月に制定された核兵器禁止条約や核拡散防止条約(NPT)を巡る取り組みに焦点を当てる。

 開会行事で国連の中満泉・軍縮担当上級代表(事務次長)があいさつ。軍縮の停滞に懸念を示す一方、禁止条約制定に触れて「歴史的な達成。国際社会が意志をさらに高めれば核軍縮を促進できる」と述べた。

 「市民社会からのメッセージ」と題した最初の討議には広島、長崎の被爆者たちが登壇した。爆心地から1・2キロで原爆に遭った広島県被団協の坪井直理事長(92)は「男女も年齢も問わず全ての人間を殺していった」と証言。核兵器だけでなく人間が殺し合う戦争の廃絶を願い「最後には戦争をやめるということを腹の中へ持っておけよ。それが今の私の考え」と結んだ。

 また、禁止条約を推進してきた赤十字国際委員会(ICRC)のリン・シュレイダー駐日代表は、非人道性への理解を広げるのに市民社会が貢献できると強調。「軍縮・不拡散教育」の討議では、米国の専門家が、核超大国の米ロの高校生が共に原爆被害を学ぶ試みなどを紹介した。

 討議後、出席者は平和記念公園(中区)で原爆慰霊碑に献花し、原爆資料館を見学。被爆者の梶本淑子さん(86)=西区=から被爆体験を聞いた。30日は禁止条約制定を受けた軍縮の見通しなどを討議する。会議は国連アジア太平洋平和軍縮センター主催で、広島開催は2年ぶり5回目。(水川恭輔、城戸良彰)

(2017年11月30日朝刊掲載)

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