基地問題 沖縄から警鐘 三上監督×詩人ビナードさん対談
17年4月21日
「標的の島 風かたか」広島で上映中
基地問題を焦点に沖縄の今を伝える三上智恵監督の最新作「標的の島 風(かじ)かたか」を上映している広島市西区の横川シネマで、三上監督と詩人のアーサー・ビナードさんの対談があり、満席の約100人が耳を傾けた。
映画は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先とされた名護市辺野古や、ヘリコプター離着陸帯の建設が進む東村高江の現状、宮古島や石垣島への自衛隊配備計画などをリポート。各地で続く反対運動に寄り添う。
「訴えたいのは、単に沖縄の負担の大変さではなく、日本の平和や民主主義がいかに劣化しているか」と三上監督。ビナードさんは「福島で原発事故が起きて初めて、人々は日本がどれほど原発だらけかに気付いた」と応じ、沖縄からの警鐘の意味を説いた。
三上監督は、沖縄国際大で民俗学を講じる研究者でもある。映画でも沖縄人の死生観に触れ、「反対運動の現場に立ち続ける人には、先祖や沖縄戦の死者に合わせる顔がなくなるという思いも強い」と解説した。
タイトルにある「風かたか」は、沖縄方言で「風よけ」の意味。沖縄は本土防衛の「風よけ」でいいのか、日本自体が米国の「風よけ」ではないのか、何が命を守る本当の「風よけ」なのか―。そんな問いを込めている。
上映は5月13日まで。(道面雅量)
(2017年4月21朝刊掲載)