高齢者の人生 聞き取り製本 芳井中生が忠実に
17年3月15日
岡山県井原市芳井町の芳井中ボランティア同好会が、地元の高齢者施設の入所者4人に人生の歩みを聞き取り、初めて本にまとめた。家族を失った戦争体験、内職に励みながらの子育て、今の施設暮らし…。赤裸々な告白を忠実に文章に起こし、1人ずつ製本。「世界に1冊しかない本」と名付け、手渡した。(小川満久)
同好会の依頼に応じたのは、グループホームよしい、同やなせの2施設に入所する70~90代の女性。生徒18人が昨夏2度訪れ、4班に分かれて耳を傾けた。文章に挿絵や写真も添え、B5判、17~25ページの4冊を完成させた。
広島の原爆で兵隊だった父を亡くした女性は「国のために戦い、広島で死んだ(中略)今も悔しくてなりません」と証言。別の女性は、志願兵だった16歳の兄が戦死した過去をたどり、「父が遺骨を持って帰った日は、皆涙一色だった」と振り返った。戦争体験を踏まえ「命は無駄にしないように」と語り掛けた人もいた。
ミシンで内職しながら3人の子を育てた女性は「暇があっても遊ぶということをしなかった」。今の施設生活については「毎日毎日歌って、計算問題をこつこつと頑張っています」と語った。
13日夕にグループホームよしいであった贈呈式には、入所者と生徒、仲介した市社会福祉協議会職員が出席。本を受け取り、涙を流す入所者もいた。
同好会代表で3年中嶋平太さん(15)は「戦争体験などを教えてもらいありがたかった。無事に届けられホッとした」。顧問の小田武宏教諭(60)は「生徒は地域との交流を通じて成長してくれた。今後も活動を続けたい」と話していた。
(2017年3月15日朝刊掲載)
同好会の依頼に応じたのは、グループホームよしい、同やなせの2施設に入所する70~90代の女性。生徒18人が昨夏2度訪れ、4班に分かれて耳を傾けた。文章に挿絵や写真も添え、B5判、17~25ページの4冊を完成させた。
広島の原爆で兵隊だった父を亡くした女性は「国のために戦い、広島で死んだ(中略)今も悔しくてなりません」と証言。別の女性は、志願兵だった16歳の兄が戦死した過去をたどり、「父が遺骨を持って帰った日は、皆涙一色だった」と振り返った。戦争体験を踏まえ「命は無駄にしないように」と語り掛けた人もいた。
ミシンで内職しながら3人の子を育てた女性は「暇があっても遊ぶということをしなかった」。今の施設生活については「毎日毎日歌って、計算問題をこつこつと頑張っています」と語った。
13日夕にグループホームよしいであった贈呈式には、入所者と生徒、仲介した市社会福祉協議会職員が出席。本を受け取り、涙を流す入所者もいた。
同好会代表で3年中嶋平太さん(15)は「戦争体験などを教えてもらいありがたかった。無事に届けられホッとした」。顧問の小田武宏教諭(60)は「生徒は地域との交流を通じて成長してくれた。今後も活動を続けたい」と話していた。
(2017年3月15日朝刊掲載)