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黒い雨分布 援護対象より広範囲 放影研 1万3000人分析公表

 原爆投下直後の広島、長崎で「黒い雨」を浴びたと1万3千人が回答したデータをめぐり、保管する放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は20日、データを基に作成した分布図を公表した。国が被爆者援護の対象とする地域よりさらに広い範囲で雨に遭ったとする回答があった。(金崎由美)

 1万3千人の内訳は広島が大半の1万2269人、長崎が853人。広島の分布図では援護対象の「大雨地域」や爆心地から半径5キロ以内に多い一方、援護の対象でない「小雨地域」や、さらに外の広島市域、市外にも存在する。

 国は1976年、原爆投下直後の調査を基に、大雨地域の人に限り無料で健康診断が受けられ、がんなどになれば被爆者健康手帳を取得できるとした。

 これに対し広島市は2008年度の調査から、現在の大雨地域より約6倍広い範囲で雨が降ったと推定。援護対象地域の拡大を求める。厚生労働省は10年12月、有識者検討会を設置し、指定地域の見直しを議論している。

 記者会見で大久保利晃理事長は分布図やデータを厚労省の検討会に提供すると述べた。分布図は雨が降った地域を断定するものでないとし「1カ月後に降られたとの回答もあった。直接被爆者を調査するための質問だったので新事実はほとんどなく、さらに分析的な研究をするかは決めていない」と話した。

 市の調査を基に降雨域を推定し、厚労省検討会のワーキングループ委員を務める広島大原爆放射線医科学研究所(原医研、南区)の大滝慈教授(計量生物学)は「分布図はわれわれの推定を裏付ける結果だ。厚労省の検討会議の議論に影響を与える可能性もある」としている。

(2011年12月21日朝刊掲載)

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