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社説・コラム

世界一周し被爆体験証言 福山の広中正樹さんに聞く 語る必要性 あらためて

 福山市手城町の被爆者広中正樹さん(75)が4~7月、非政府組織(NGO)ピースボート(東京)主催の世界一周の船旅に参加し、寄港地で被爆体験を証言した。広中さんは3月に解散した福山市原爆被害者の会の会長だった。被爆70年の節目に海外で証言して感じたことや、現地の人々の反応を聞いた。(小林可奈)

  -どんな活動をしましたか。
 23カ国を巡り、このうち、核兵器を保有する米国、フランス、ロシアなどを含む19カ国で、公募で参加した被爆者8人が交代で証言した。私はシンガポール、ベルギー、アイスランド、グアテマラの4カ国で、寄港地の市長や子どもたちに自作の紙芝居を使って被爆体験や核兵器廃絶への思いを語った。

  -反応はどうでしたか。
 証言後、アイスランドのレイキャビク市の市長は涙を流し、私の肩を抱きながら「心を動かされた。また来て話してください」と言った。子どもたちからも握手を求められた。被爆の実相や、核兵器廃絶への思いが伝わったと、涙が出るほどうれしかった。

  -旅を終え、どんな気持ちですか。
 被爆体験を語ることの必要性をあらためて感じた。ただ、被爆者の発信力には限りがある。今後は地域の中高生たちに被爆体験を積極的に語り、海外の若者たちに伝えてくれるよう求めていきたい。

ひろなか・まさき
 福山市出身。5歳のころ、父の仕事の関係で住んでいた広島市西区の自宅に近い、爆心地から約3.5キロの小川で遊んでいて被爆した。父は爆心地近くで被爆、全身やけどで翌日に亡くなった。盈進商業高(現盈進高)卒業後、地元の繊維会社などで勤務。2009~15年、福山市原爆被害者の会の会長を務めた。

(2015年9月2日朝刊掲載)

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