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岡山に被爆2・3世の会 初の県組織、10月結成

 岡山県内の被爆2世たちが、家族の原爆体験を継承し、核廃絶を訴えようと、初の県組織「岡山被爆2世・3世の会」をつくる活動を進めている。呼び掛け人の一人で両親が広島で被爆した加百(かど)智津子さん(65)=総社市=たちが10月の結成に向け今月23日、岡山市北区で準備会を開く。

 加百さんの母は23歳の時、建物疎開の作業で訪れた爆心地から約1キロの広島市中区小網町で被爆した。顔や胸に大やけどを負ったが、一命を取り留めた。結婚したばかりだった父も翌日、自宅の大竹市から母を捜して広島市に入った。

 母は終戦翌年と翌々年に2人の男児を授かったが、ともに出産直後に亡くした。その母は昨年12月、92歳で他界した。加百さんは母が生前「原爆の毒を2人の子が持って出たから私はここまで生きられた」と話し、名前も刻まれていない小さな墓に手を合わせる姿が忘れられないという。

 元おかやまコープ職員の加百さんは約20年前から中学校などで母の体験を証言する活動を続けてきた。昨年7月に岡山市内であった平和行進で父が被爆者だという志賀雅子さん(64)=倉敷市=と出会い、2人で会結成の準備を始めた。

 岡山県内の被爆2世の会は津山市にあるが、全県的な組織の結成は初めて。結成総会は10月24日を予定。今月23日には会結成に賛同した2世、3世の9人程度で準備会を開く。加百さんは「被爆者の思いを受け継ぎ、体験を継承し、核のない世界を訴えたい」として2世、3世の参加者を募っている。問い合わせは県原水爆禁止協議会Tel086(244)4526。(永山啓一)

(2015年7月22日朝刊掲載)

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