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「あの日」 市女生徒の無念 遺族の手記基に再現 広島市中区で朗読劇

 原爆で犠牲となった広島市立第一高女(現舟入高)の生徒の遺族たちがまとめた手記に基づく朗読劇「流燈(りゅうとう)」が19日、中区の本願寺広島別院であった。命を絶たれた娘たちの無念さや平和への願いを、約200人が聞き入った。(川手寿志)

 当時の1、2年生約540人は、現在の平和記念公園(中区)南側一帯で建物疎開の作業中に被爆し、全員が命を落とした。朗読劇では、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)の朗読ボランティア「森の会」の6人が、親やきょうだい役で読み上げた。

 「お父ちゃん、助けて」「もう死ぬよ」。大やけどで変わり果てた姿の生徒が、焼け野原の中を駆け付けた親と交わした最期の言葉を再現。死に目に会えずに悔いる母親の詩も感情を込めて語った。

 脚本は、同会メンバーで舟入高元校長の伊藤隆弘さん(76)=佐伯区=が「生徒の悲劇を若い人たちに伝えたい」と遺族たちの手記を基に作成。朗読劇は、広島別院と浄土真宗本願寺派安芸教区が被爆70年の平和行事の一環で催した。

(2015年7月20日朝刊掲載)

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