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広島・呉有志が映画PR会 来秋公開予定「この世界の片隅に」 中区で発会式 映像披露も

 来年秋の公開予定で、第2次世界大戦末期の広島、呉を舞台にしたアニメ映画「この世界の片隅に」の製作や上映を応援しようと、広島、呉両市の有志が3日、支援する会を発足させた。同日の広島市中区での発会式に片渕須直監督(54)が出席し、一部完成した映像を爆心地周辺の元住民たちに披露した。

 支援する会は、広島、呉の映画関係者やNPO法人の役員たち15人が発起人。協力者を募り、ポスターやチラシの配布、企画展や講演会を通じて、作品の魅力を広める。

 発会式は、爆心地周辺で焦土と化した旧中島本町(現中区)に残るレストハウスで開いた。代表に就いたNPO法人くれ街復活ビジョンの大年健二代表理事(69)があいさつし、「地元でより多くの方に知ってもらい、街の活性化にもつながれば」と期待を込めた。

 作品は、西区出身の漫画家こうの史代さん(46)の同名漫画が原作。広島の江波で生まれ、軍港都市・呉に嫁いだ主人公の女性が、戦禍に巻き込まれながらも、日々の営みを築いていく姿を描く。

 この日は、戦前の旧中島本町の場面など一部映像を流した。片渕監督は、元住民から聞き取りを重ねたと説明した。生家が同町の理髪店で、自身は疎開していて助かった浜井徳三さん(80)=廿日市市=は「映画で取り上げられて懐かしく、意義も感じる」と話す。

 片渕監督は「原爆で消えてしまった街、ここには普通の街があった。まずは中島本町のシーンを完成させて、この夏に広島でお目にかけたい」と意気込んでいた。(石井雄一)

(2015年6月4日朝刊掲載)

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