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核廃絶の灯…福山から消さぬ 市被害者友の会発足 活動担う2世ら決意新た

 福山市で被爆者たちの新たな受け皿となる市原爆被害者友の会が4日、発足した。市原爆被害者の会(会員数約500人)が3月末、役員の高齢化などを理由に解散したのを受けた形だ。「地域から被爆者団体をなくさない」との思いを結集し、被爆者や被爆2世たち42人で再スタートを切った。(小林可奈)

 「福山の地から核兵器廃絶のともしびを消してはならない」。4日、市市民参画センターであった設立総会で、被爆者の池尻博さん(89)=同市松永町=は、出席者約20人に訴えた。

 池尻さんは市原爆被害者の会で会長を務めた。同会の解散を受け、友の会の発足を他の会員に呼び掛けた。「被爆者の心のよりどころとなる団体は必要」との思いからだった。

 同じ被爆者の佐藤良直さん(83)=同市加茂町=も「被爆者援護の声を届けるため、発信力のある組織は必要だ」と話した。

 一方で、活動の中心を担うのは被爆2世になる。事務局長に就いた加藤久司さん(60)=同市芦田町=は「これからも福山から核兵器廃絶、平和を訴え続ける必要がある」ときっぱり。加藤さんは被害者の会の会員ではなかったが、解散のニュースを知り、「何か自分にできないか」と参加を決めた。

 福山における被爆者団体の必要性について、新会長に就いた藤井悟さん(68)=同市久松台=は「被爆地でない福山に組織があり、核兵器廃絶、戦争反対を発信し続けることが重要」と強調する。今後、被爆3世の参加や地元の若者と被爆者の交流を検討している。

 新組織では、被爆体験を記録し、その証言を継承、発信する活動が課題となる。藤井会長は「駅伝のランナーのように被爆者の体験を受け継ぎ、次世代に伝えるため、走り続けたい」と力を込めた。

(2015年4月5日朝刊掲載)

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