NPT成功に悲観論 佐野軍縮大使 ウィーン発言「誤解」
14年12月17日
佐野利男軍縮大使が16日、東京都内で講演し、来年春に米ニューヨークである核拡散防止条約(NPT)再検討会議について「成功はかなり厳しい」との見方を示した。オーストリア・ウィーンでの国際会議での自身の発言が被爆者たちから反発を招いた件は「誤解されている」と弁明した。
佐野氏は、NPT再検討会議は「核軍縮、不拡散、平和利用という三つの柱について、具体的な行動計画に文書で合意して成功といえる」との見解を説明。成功が難しい理由として、核兵器保有5大国の保有数の報告の透明性にばらつきがあることや、2010年の同会議で合意した中東非核化構想に関する国際会議の開催が困難なことを挙げた。
一方で、日本とオーストラリアが主導する非保有12カ国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)の活動をアピール。4月に広島市南区で開いた外相会合などの議論でまとめた提案を「NPT合意文書の主要(部分)になるよう、加盟国に説明して回っている」と述べ、水面下で努力を続けているとした。
ウィーンでの「核兵器の非人道性に関する国際会議」での発言について、佐野氏は「核爆発の影響に対してではなく、核爆発があった時の対処の方法がないという意見に対して悲観的だと言った」と強調。講演後も「核戦争などを前提として話したわけではない」と理解を求めた。(藤村潤平)
岸田文雄外相(広島1区)は16日、オーストリア・ウィーンでの「核兵器の非人道性に関する国際会議」に日本政府代表団長として出席した佐野利男軍縮大使に「発言には万全を期すように」と直接注意したことを明らかにした。
佐野氏は8日の討議で、核爆発が起こると負傷者の救護活動が不可能になるとの意見に対して「少し悲観的だ」と反論。被爆者を含む参加者は、非人道性を踏まえて核兵器廃絶を目指す機運に水を差すとして反発した。
岸田氏は、唯一の戦争被爆国である日本は「人類に多大な惨禍をもたらしうる核兵器は将来二度と使用されることがあってはならないという立場だ」と強調。佐野氏の発言によって「結果的にわが国の立場に誤解が生じた。遺憾だ」と述べた。
(2014年12月17日朝刊掲載)
佐野氏は、NPT再検討会議は「核軍縮、不拡散、平和利用という三つの柱について、具体的な行動計画に文書で合意して成功といえる」との見解を説明。成功が難しい理由として、核兵器保有5大国の保有数の報告の透明性にばらつきがあることや、2010年の同会議で合意した中東非核化構想に関する国際会議の開催が困難なことを挙げた。
一方で、日本とオーストラリアが主導する非保有12カ国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)の活動をアピール。4月に広島市南区で開いた外相会合などの議論でまとめた提案を「NPT合意文書の主要(部分)になるよう、加盟国に説明して回っている」と述べ、水面下で努力を続けているとした。
ウィーンでの「核兵器の非人道性に関する国際会議」での発言について、佐野氏は「核爆発の影響に対してではなく、核爆発があった時の対処の方法がないという意見に対して悲観的だと言った」と強調。講演後も「核戦争などを前提として話したわけではない」と理解を求めた。(藤村潤平)
岸田外相が佐野氏注意
岸田文雄外相(広島1区)は16日、オーストリア・ウィーンでの「核兵器の非人道性に関する国際会議」に日本政府代表団長として出席した佐野利男軍縮大使に「発言には万全を期すように」と直接注意したことを明らかにした。
佐野氏は8日の討議で、核爆発が起こると負傷者の救護活動が不可能になるとの意見に対して「少し悲観的だ」と反論。被爆者を含む参加者は、非人道性を踏まえて核兵器廃絶を目指す機運に水を差すとして反発した。
岸田氏は、唯一の戦争被爆国である日本は「人類に多大な惨禍をもたらしうる核兵器は将来二度と使用されることがあってはならないという立場だ」と強調。佐野氏の発言によって「結果的にわが国の立場に誤解が生じた。遺憾だ」と述べた。
(2014年12月17日朝刊掲載)