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中電寄付の19億円宙に浮く 島根原発立地の松江市鹿島町 施設建設基金、使途限定が壁

 中国電力島根原子力発電所が立地する松江市鹿島町が、2005年3月に合併する前の旧町時代、中電からの匿名の寄付金で設けた基金約19億5千万円が宙に浮いている。市は公共施設の新設を中止したものの、基金の使途を町内の公共施設新設に限定しているため。地元は広く使えるよう市に求めているが、巨額資金の行方に市民も注目している。(川井直哉)

 鹿島公共施設建設基金で、13年度末残高見込みは19億5130万円。市条例で使途は旧町内の公共施設建設に限られている。だが市は昨年度、財政難から新たな公共施設を建設しない方針を決定。基金の使い道はほぼ閉ざされた。

 基金は、匿名の寄付金で旧町が1991年設置。公共施設建設を目的に寄せられ、市によると01年度から3年間だけで計26億円に上る。合併した05年3月末の残高は約24億円。合併後は、温泉施設増設や公衆トイレ整備などに使われた。

 00年から旧町議を2期務めた安達久美子さん(65)は「01年度からの寄付は、地元が着工を認めた島根原発3号機の見返りと受け止めている。人口7千人余りの町には巨額すぎるお金」という。

 宙に浮いた基金に、同町住民たちでつくる鹿島地域協議会(青山善太郎会長)は7月28日、基金を町内のソフト事業にも使うことができるよう同市の松浦正敬市長に要望。条例改正を市議会に働き掛ける約束を取り付けた。

 原発の再稼働に反対する同市の市民団体「平和フォーラムしまね」の杉谷肇代表(72)は「寄付の原資は電気料金。塩漬けは納得できない。市も市民に説明すべきだ」と憤る。中電は「寄付については相手もあり、内容や時期は答えられない」としている。

鹿島町
 人口7068人(2014年6月末)。05年3月に松江市など1市7町村と合併した。中電島根原発が立地し、1号機(出力46万キロワット)は1974年3月、2号機(同82万キロワット)は89年2月に営業運転を開始。3号機(同137万3千キロワット)は05年12月に着工し、ほぼ完成している。

(2014年8月2日朝刊掲載)

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