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『アングル』 あの瞬間 無言で語る 収蔵庫に眠る2万1000点 原爆資料館 広島市中区

 広島市中区の原爆資料館が9日、改修工事の本格化を前に、東館地下の収蔵庫を報道陣に公開した。鉄扉の向こうに、原爆が人間に何をもたらしたのかを無言で伝える遺品など実物資料約2万1千点が眠っていた。

 劣化を防ぐため空調が管理され、資料は紙で包んだり、封筒に入れたりしてある。佐藤規代美学芸員が手袋をはめ、きりだんすから一つの包みを取り出し、ほどいた。

 出てきたのは焼け焦げたワンピース。爆心地から約600メートルで、自宅の下敷きになった女性が身に着けていた。花柄の愛らしいデザイン。あの瞬間まで、日常を生きていた姿が浮かぶ。

 「遺品一つ一つに刻まれた持ち主の無念さや遺族の思いを感じてほしい」。実物資料の展示を増やしての全面オープンは、2018年春だ。(写真・浜岡学、文・田中美千子)

(2014年6月18日夕刊掲載)

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