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吉野正芳氏に聞く 福島の復興が恩返しに

 昨年12月の衆院選で福島を地盤とする自民党の吉野正芳氏(64)が、ゆかりのない比例中国ブロックで当選した。議席の意味をどう受け止め、今後の活動をどう考えているのかを聞いた。(武河隆司)

 衆院選公示の少し前に、自民党の河村建夫選対局長(当時)から電話があった。「福島第1原発事故対応をこれからもやってほしい。吉野にバッジを着けさせて、福島にお返しする」と。当選するためにどこがいいか探した結果が、中国地方だったと聞いている。

 東日本大震災後、福島県選出の自民党議員は私一人だったから、震災復興に関わるすべての国会審議に加わった。今も福島県連の議員だ。古里福島の復興に全力を挙げることが、当選させてくださった中国地方の有権者への恩返しだと思っている。

 私は原発が大好きな人間だった。好きだから良くしたいという思いで、原子力安全・保安院(当時)の経済産業省からの分離・独立を訴えてきた。それが実現できないまま事故が起きた。もう福島に原発はいらない。40年廃炉のルールを厳格に守り、新規立地は認めるべきではない。

 原発は国の主導の下で電力会社が造った。今回の事故の責任が東京電力にあるのは当然だが、国の責任はどこにいったのか。個人の賠償交渉は全て国がやるべきだ。その後で東電に求めればいい。

 線量が高い地域の人々には、本当のことを言わないといけない。「ごめんね。あなたの所は帰れないよ」と。それが政治の役割だ。自民党は近々やる。国が将来をきちんと示すことが、住民の未来につながる。(談)

よしの・まさよし
 環境副大臣、文部科学政務官など歴任。衆院環境委員長。福島第1原発が立地する福島5区が地盤で、いわき市出身。当選5回。

(2013年2月8日朝刊掲載)

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