×

ニュース

記者藤井整 生きざま描く 米で排日土地法撤廃に尽力 映画製作者が市訪問

 山口県岩国市出身の日系移民として、1920~50年代に米国カリフォルニア州の排日土地法(外国人土地法)の撤廃に尽力した藤井整(写真・1882~1954年)の生きざまを描いた短編映画が米国で自主製作された。17日、エグゼクティブ・プロデューサーを務めたロサンゼルス在住の藤田文子さん(71)が岩国市役所を訪れ、市内での上映を希望した。(大村隆)

 藤井は同市周東町出身で20歳で単身渡米。カリフォルニア州で邦字紙「加州毎日」を創刊した。映画「リトル・トーキョー・リポーター」では、藤井が記者として当時の日系社会にはびこっていた犯罪に立ち向かう姿を描いている。

 藤田さんは「藤井の活躍は日米の歴史の一ページ。ぜひ多くの人に知ってもらいたい」と福田良彦市長にPR。福田市長は「上映会やDVDの貸し出しなど、市民が鑑賞できる何らかの方法を検討したい」と話した。

 藤井は日本人の土地所有を制限していた同州の排日土地法を提訴し、1952年に違憲判決を勝ち取った。だがその功績を知る人は少ない。

 藤井の生家で暮らす孫の秋山光恵さん(69)は「幼いころ、米国からよく励ましの手紙をもらった」と振り返った。映画化されたことについて「祖父の業績の重みをあらためて感じる。多くの人に見てもらいたい」と喜んでいる。

 作品は30分。昨年完成し、これまでに米国の六つの映画祭で優秀作品賞などを受賞している。日本では来春、福島県の短編映画祭で初上映される予定。

(2013年9月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ